link ディミトリ
………………。
link フェリクス volume_up
……おい、考え事なら後にしろ。 食事の時くらい、食事に集中したらどうだ。
link ディミトリ volume_up
ああ……そうだな。すまない。
link フェリクス volume_up
フン、どうせ教団の兵力をどう動かそうだの 今冬をどう凌ごうだの考えていたのだろう。
link フェリクス volume_up
その手の問題を一人で解決しようとするな。 臣下に考えさせるのも王の務めのはずだ。
link ディミトリ volume_up
そう言うお前はどうなんだ。領内の統治は 叔父君に委任していると聞いたが。
link フェリクス volume_up
無論、統治の方針について何かあれば、都度 自領に戻って話し合うようにはしている。
link ディミトリ volume_up
母君は息災か。家中の揉め事を一手に 引き受けてくださっているそうだな。
link フェリクス volume_up
元々その手の仕事が得意な方だ。むしろ、 自分の出番だと活き活きしているだろうよ。
link ディミトリ volume_up
今ばかりは、彼女も忙しく働いていたほうが 落ち着くのだろうが……気に掛けてやれ。
link フェリクス volume_up
チッ……他人の心配ばかりしていないで たまには自分のことでも考えたらどうだ。
link ディミトリ volume_up
自分のことと言われてもな……ああ、 そういえば騎士団が合同訓練をしたいと……
link フェリクス volume_up
はあ……いや、まあいい。 昔からお前はそういう男だったな……。
link フェリクス volume_up
どうせ、そう思い詰め過ぎるな…… などと言っても聞かんのだろう、貴様は。
link ディミトリ volume_up
……この戦いに負けは許されないからな。 王国を守るためにも……復讐のためにも。
link ディミトリ volume_up
事件の糸を引いていた者たちに、 一歩一歩近づいている感覚はある。
link ディミトリ volume_up
謀を知りながら何もしなかった者や、 下手人と結託した者たちを罰しもした……
link ディミトリ volume_up
だが、それではまだ足りない。 俺は……殺すべきを殺さなければならない。
link フェリクス volume_up
……もはや口癖だな。 復讐を果たして、お前はどうする。
link ディミトリ volume_up
……わからない。彼らの嘆きが止み、 恨みが晴れれば、俺はそれでいい。
link フェリクス volume_up
………………。
link ディミトリ volume_up
なあ……フェリクス。 お前も、俺を恨んでいるか?
link ディミトリ volume_up
あの日、グレンは俺の目の前で死んだ。 助けられなかった……殺したのと同義だ。
link ディミトリ volume_up
ロドリグも……俺が“灰色の悪魔”を あらかじめ討ってさえいたら……。
link フェリクス volume_up
だからと言ってお前を恨むのは筋が違う。 お前が殺したわけではないだろうが。
link フェリクス volume_up
皆、お前のために死んでやったのではない。 意志を貫いて死んだんだ。思い上がるな。
link ディミトリ volume_up
命を捨ててまで、貫くべき意志などない。 そうまでして守られる価値など、俺には……
link フェリクス volume_up
もういい、食事が冷める。余計なことを 考える暇があったらさっさと食べてしまえ。
link ディミトリ volume_up
……そうだな。