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どうした、今日は妙に街が騒がしいな。 吟遊詩人でも来てんのか?
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ユーリス兄ちゃん、知らないの? 最近、街に面白い騎士が来ててさ。
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面白い騎士……?
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うん、なんかすっげえ馬鹿力でさあ。 鍛冶屋の荷物を全部運んでくれたり……
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酒場でいつも喧嘩してる連中がいただろ? それをまとめて黙らせたりしてくれたんだ。
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喋ってみると、世間知らずなんだか そうじゃないんだかよくわからない奴で……
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………………。 ……いや、まさか。いるわけねえよな?
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……ユーリス? お前、なぜここに。
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………………。 いやがった……。
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ちょうどよかった、手伝ってくれ。 馬車の整備のために、人手が要るんだが……
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あんたなあ……ちょっと来い。
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あのなあ……不敬を承知で言うが、 あんたは馬鹿か? つーか何しに来た?
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何を……と言われても。ちょうど時間が 空いたから、街の様子を見に来ただけだが。
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なら治安の良い表通りとかにしとけよ。 何でこんなクソ物騒な裏通りに来やがった。
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貧民窟とまでは言わねえが、 この辺りには金のねえ流れ者が多い。
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王様がそんなところを独りでほっつき歩いて 何かあったらどうするつもりだよ。
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……ならば、俺はどのようにして ここに暮らす人々の生活を知ればいい。
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フェルディアの玉座の上から見えるのは、 日の当たる表通りの様子だけだ。
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人を遣って調べればいいのかもしれないが、 できるなら自分の目と耳で確かめたい。
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……あんた、確かまだガキはいねえよな? あんたが死ねば王位を巡って内乱が起きる。
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そうなりゃ、貴族も大勢死ぬだろうが、 農民や貧民だってゴミのように死ぬんだ。
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今んとこ、あんたの施政の評判は上々だよ。 だからこそ長生きしてほしい。わかるな。
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どうしてもここに来てえなら、せめてあの デカブツでも誰でも護衛を連れてこい。
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……そうだな。お前の言うことは正しい。 自分の軽率さを反省しなければなるまい。
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阿呆は阿呆でも話の通じる阿呆で何よりだ。 これからはもっと自分の命を大切にして……
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ならばユーリス、俺が街にいる間はお前が 俺の護衛をしてくれ。腕は確かだろう?
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……はい?
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お前の目を通してこの街を見れば、 いつもと違う景色が見えそうだと思って。
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そもそも、ドゥドゥーに相談しようものなら 街に出るのも禁じられかねない。……頼む。
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……ぶっ、ははっ、傑作だ! この俺も、 国王から頭を下げられる身分になったか!
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くく、仕方ねえ、引き受けてやるよ。 責任持って御身をお守りします、ってな。