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リシテア!
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……大声で名前を呼ばないでください。 何かわたしに用ですか?
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君に伝えたいことがあってきたのだ。 少し時間を貰えないかね?
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伝えたいこと……? 構いませんが、手短にお願いします。
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もちろんだとも。 率直に言って君の将来のことだ、リシテア。
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……?
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私は解せなかったのだ。君ほどの才女が、 このような非合理な生き方を選ぶのが。
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何のために生き急いでいるのか、 なぜ貴族の地位を捨てるのか。
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私は、その理由を探した。 君の生きる理由を、理解しようとした。
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迷惑なのでやめてくれます?
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……って言っても手遅れですね。 仕方ありません、続きをどうぞ。
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ああ。私はついに君の秘密を探り当て、 ここに来た。
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君が、短命を宣告されているという 事実を知ったのだ。
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………………。
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それで、わたしの秘密を知って、 あんたは何がしたいんですか?
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わたしには選択肢なんてないんです。 だから、放っておいてください。
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……本当に、選択肢はないのか?
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わたしは両親のこと以外に何も背負うことは できません。他に何の選択肢があると?
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それは、今はわからない。 だが……
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ほら、わからないじゃありませんか。 わたしだって、何かできるなら……
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今は、と言ったぞ、リシテア。
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残された時間が少ないとしても、 明日明後日という話ではないのだろう?
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それならば、何かがあるかもしれない。 私を侮らないでもらいたい。
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何かあるかもですって……? いったい、何があるって言うんです?
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そんな正体のない希望にすがって 生きるのは、ずっと前にやめたんです!
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リシテア……頼む。 可能性から目を背けないでくれ。
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アランデル公を始め帝国の闇で暗躍していた 連中は、多くの情報を置き去りにした。
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その内容について、ヒューベルトと共に 調査してきたのは君も知ってのとおりだ。
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そしてその中から、コーデリア家で行われた 実験についての記録が……見つかったんだ。
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……!!
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本当、なんですか。
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ああ。それがすぐに君の問題の解決に 繋がる保証は何もないが……
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リンハルトやハンネマン先生など、 帝国の叡智が研究に乗り出してくれている。
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帝国の誇る紋章学者らにも協力を仰ぎ、 幾つかの謎は解明されつつある。
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帝国の誇る紋章学者らにも協力を仰ぎ、 幾つかの謎は解明されつつある。
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だから待っていてくれ、リシテア。必ずや 君の命が燃え尽きる前に間に合わせよう。
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……そんなことが。
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って、フェルディナント! わたしもその調査に交ぜなさい!
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絶対そのほうが良いじゃないですか! 待ちなさいってばー!!