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ハピ、ちょっといい?
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いーよ。何?
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実は、あなたの過去を聞いちゃったのよ。 それで少し話をできないかと思って。
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あー、うん。 聞いちゃったかー。
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楽しい昔話でもなかったでしょ。 で、何かな?
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私の母さんのことよ。 前にハピがいろいろ聞こうとしてたのは……
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私が、あなたと同じような目に遭ったんじゃ ないかって、心配してくれてたのね。
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そーだね。 キミって不思議な力、持ってるじゃん。
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ハピは子供の頃、変な人たちにさらわれて、 おばさんの元で実験台になってた。
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その結果、こーんな体質になっちゃって。 困ったりしてるわけじゃないんだけど。
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私には……少なくとも実験台になった 記憶はないわ。
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母さんも多くは語らなかったけど、そんな 怪しい人ではなかったと思うのよ。
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村での生活も真っ当なものというか、最低限 だけど他の住民とも交流はあったし……
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考えた結果、きっと誰かに追われるような 身の上だったんじゃないかって。
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何だろーね。それはそれで気になるけど、 とにかくハピとは違って良かったよ。
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まー、キミは力も使いこなせてるから、 そこもハピとは違うじゃん。
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ええ、この力は、自分のものとして 使いこなせてる自覚はあるわ。
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ただ……だからといって安全とは 限らないでしょ?
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いえ、完全に使いこなせてるとは言えない。 いつ何が起こるかわからないでしょ?
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おとぎ話みたいに、剣に呑み込まれて 化け物になっちゃうかもしれないし……。
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……万が一そうなっちゃったら、 ハピがため息ついて呼んであげる。
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そして、ハピたちの手でとどめを刺す。 それこそおとぎ話みたいにね。
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怖いこと言わないでよ。 けど……万一があったら、そうね。頼むわ。
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……私は傭兵だしね、 使えるものは何でも使っちゃう。
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それが正しい自信はないけど、それよりは 今を生きることのほうが大事なのよ。
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本当は……ハピみたいにできる限り使わず、 もしもの時だけにするべきかもしれないわ。
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その選択ができて、使わないでいられる ハピは、凄いと思うわよ。
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そうかなー。 ハピは諦めてるだけじゃん?
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諦めないで頑張ってるキミのほうが、 ずっと凄いし。それは間違いない。
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いえ、ハピのほうが凄いわ。 そこは譲れないから。
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わかったわ、そういうことなら 私のほうが凄くてもいいけど……
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決してハピが凄くないわけじゃないからね。
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もー、何をこだわってんだか。 わかったし。
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それじゃ、話は終わりでいい? ハピ、体を動かしたくなってきた。
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うん、ありがと。 訓練かしら?
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そーだよ。 少しは努力してもいいかなって。
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キミも暇ならどう? じゃ、ハピはとりあえず行くから。
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そういえば……実験台、ね。 あの夢は、いったい何を意味してるの?
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……ラルヴァ。