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はあ……。
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あら? どうしたの、シルヴァン。 溜め息なんてついて……皺が増えるわよ。
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いやあ、うちの部隊にちょっと素行の悪い 奴がいてさ。どうしたもんかと思って……。
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………………。
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……ちょっと、イングリットさーん? そんなおかしな顔してどうしましたかー。
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一応聞くけれど、素行の悪い者というのは あなたのことではないわよね……?
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お前な。俺を何だと思ってるんだよ。 女神に誓って俺じゃない。うちの兵士だ。
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備品は壊す、他の部隊の連中と喧嘩はする、 おかげでいろんな人に謝罪、謝罪……
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そう……やっと私の気持ちを理解したのね。 こんな日が来るなんて驚きだわ。
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本当に成長したのね、シルヴァン……。 これはお祝いしたほうがいいかしら。
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よし、だったら盛大に肉でも焼いて…… じゃなくてな。何を感極まってんだお前は。
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士官学校が休止になって、戦争が始まり、 嫌でも俺たちを取り巻く状況は変わる。
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陛下もフェリクスも家督を継いで、 あくせく働いてるってのに……
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兄貴分の俺が、しょうもない不祥事で あいつらに迷惑かけるなんて情けないだろ?
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シルヴァン……。
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だから! いちいち感動するなって! ったく……これが身から出た錆ってやつか。
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ごめんなさい、少しからかっただけよ。 今までの仕返しだと思ってちょうだい。
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近頃はあなたの浮いた話を聞かなくなって、 私も肩の荷が下りた気分だわ。
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面倒をかけて悪かったな。今になって、 お前の存在のありがたみを感じてるよ。
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そう思うなら、今後も他のみんなに 迷惑をかけないように生きていくことね。
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まあ、役目だと思ってたものがなくなって、 張り合い抜けしたような気もするけれど。
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何かと放っておけない友達のために、 私が頑張らなきゃって思ってたから。
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……悪かったって。
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いいわよ別に。いろんな経験ができたし。 嫌だったらとっくに見捨てていたわ。
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グレンが亡くなった時も、私を部屋から 引っぱり出したのはあなたの声だったわね。
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……ええと、つまり。俺にはもうちょっと 遊んでいてほしいと? 参ったなあ……
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馬鹿言わないでちょうだい。
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ですよね。
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あなたの言うとおり、嫌でも状況は変わる。 ……誰も、昔のままではいられない。
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もちろん私もあなたも例外ではなくて…… それが、ほんの少し寂しくなっただけよ。