- トマシュの逃亡劇は、
思わぬ結果になったね。
- 騎士団の前で「変身」の力を使い、
いとも容易くあの場を逃れてみせるとは。
- 変身、か……。
- 変身、か……。
- 言いたいことがあったら言うべきだよ。
『自分の……僕の力と似ていた』とか。
- 同じだと言う
- 何も言わない
- そうだ。
ラルヴァ……お前のくれた力と同じだぞ。
- そうよ。ラルヴァ……
あなたのくれた力と同じじゃない。
- お前はトマシュの仲間なのか?
この力は……何なんだ?
- あなたはトマシュの仲間なの?
この力は……何なのよ。
- 僕の知る限り、僕に仲間はいない。
いるのは……運命共同体である君だけだ。
- しかし、あれを目の当たりにした今では、
同じ力を持つ者の存在も否定できないな。
- ………………。
- ………………。
- 何も言ってくれないのか?
でも、そうだな……。
- あれを目の当たりにした今では、
同じ力を持つ者の存在も否定できない。
- トマシュの様子は、皆が知った。
俺と関連づける奴だっているだろ。
- トマシュの様子は、皆が知ったわ。
私と関連づける人だっているでしょ。
- 教団が何も言ってこないってことは
そこは黙ってくれてるみたいだが。
- 教団が何も言ってこないってことは
そこは黙ってくれてるみたいだけどね。
- そうだね。君の学級の面々は、
君を信頼してくれているようだ。
- 君としては……
おっと、誰か来たみたいだね。
- よう、お疲れさん。
お前に話があったんだ。
- どうした?
- どうしたの?
- ずばり聞くが……お前、本当にトマシュの
爺さんに心当たりはないんだよな?
- ああ、そう言っただろ。
- ええ、そう言ったでしょ。
- いや、疑っているわけじゃないんだ。
- てことは、お前はどこから来たんだ?
って思ってな。
- 姿を変える力を持った不思議な一族がいて、
お前はそこで生まれたのかもしれない。
- しかし故あって幼い頃に一族を追われ、
記憶にも残っていない、とか?
- 確かに……
俺の出自には、あやふやなところがある。
- 確かに……
私の出自には、あやふやなところがあるわ。
- 可能性は否定できないが……。
- 可能性は否定できないけど……。
- 悪い悪い、そんなに深刻に考えるな。
俺もここじゃ、異物みたいなもんでね。
- お前が同類かもしれないと思ったら、
少し親近感が湧いたのさ。
- 異物って……
- 異物って……
- クロード、ここにいたのか。
ゴネリル領から急使だ。早く来たまえ!
- わかった。
[HERO_MF]、お前も来いよ。
- しかしゴネリル領?
……いや、まさかな。