- ………………。
- ……陛下。
おれたちも急ぎ、撤退しなければ……。
- ああ……そうだな。
- ……すまない、イングリット。
お前をここに置いていかねばならない……。
- ……すまない、イングリット、メルセデス。
お前たちをここに置いていかねばならない。
- せめて……殿はおれが務めるべきでした。
申し訳ありません、陛下。
- 謝るな。殿をお前に任せたところで、
彼女ではなくお前が死んでいただけだ。
- すべての決断を下したのは俺だ。
……イングリットたちを殺したのもな。
- 陛下……。
- 彼女は幸せになるべきだったんだ。
許嫁を失っても、懸命に前を向いて……。
- 死ぬのは……さぞ苦しかったことだろう。
……俺が代わってやれればよかったのに。
- 俺はガラテア伯に……グレンに、
何と言って詫びればいいかわからない……。
- どうか……それ以上
ご自分を責めるのはおやめください。
- メルセデスはあなたを……
王国の民を守るために、戦場に立った。
- イングリットは自らの意志で
陛下の背を守ることを選んだのです。
- それさえも否定されては……
……彼女が浮かばれません。
- それさえも否定されては……
……彼女たちが浮かばれません。
- ………………。
- ……俺は、必ずファーガスを守ってみせる。
この手に遺された、魔槍に誓おう……。
- だから今はゆっくりと眠ってくれ。
仇を取ったら、また迎えに来るから……。