- なあ、こっそり話すのはいいんだが、
少し森が深すぎないか?
- ねえ、こっそり話すのはいいんだけど、
少し森が深すぎない?
- 念には念を、ですよ。
- このところ、まったくと言っていいほど
敵の動きを掴めなくなりましたからな。
- と……リシテアも来たのか。
どういう繋がりだ?
- と……リシテアも来たのね。
どういう繋がりなの?
- リシテア殿は、過去に“闇に蠢く者”と
接触したことがありましてね。
- 情報共有のために、
顔を出してもらったのです。
- 顔だけです。余計な口は出しませんから、
気にせず話してください。
- わたしにとっても彼らは……
対決しなければいけない相手ですから。
- なるほど……。
- なるほど……。
- さて、姿を見せなくなったからと言って、
“闇に蠢く者”どもを相手にして……
- 警戒を緩めることなどできません。
- 特に帝都アンヴァルは、かつて彼らが
跳梁跋扈し、闇の巣窟と化していました。
- 陛下や我々が帝都に戻るのに合わせて、
何か事を起こす可能性さえあります。
- まったく本当に厄介な人たちですね。
神出鬼没で……。
- 話を促す
- 相槌を打つ
- それで、俺を呼んだ理由は何だ?
してほしいことでもあるのか?
- それで、私を呼んだ理由は何?
してほしいことでもあるの?
- そうですな。警告と……
頼みが一つ、あると言えばあります。
- 苦労させられたんだな。
俺が力になれればいいんだが。
- 苦労させられたのね。
私が力になれればいいんだけど。
- さて、貴殿を呼んだのは警告と……
頼みが一つ、ありましてね。
- “闇に蠢く者”、もし動きがあるとしたら、
貴殿に近づく可能性があります。
- 俺に?
- 私に?
- ええ、貴殿にです。
- あんたは、彼らと起源を同じくするだろう
力を、持っているんでしょう?
- 貴殿が彼らと同じ力を有しているという
話は、先日させてもらいました。
- そんな貴殿を、仲間に引き入れようと
彼らが動いても不思議ではありません。
- 俺にはまったくそんな気はないが、
そういう話になるわけか。
- 私にはまったくそんな気はないけど、
そういう話になっちゃうのね。
- 安心してくれ。
何があっても……
- 安心して。
何があっても……
- 貴殿によく似た、生き別れの兄弟が現れ、
優しく言葉をかけるかもしれません。
- 突然、「我が子よ……」って
呼びかけられる可能性だってありますよ。
- その誘惑を断って、家族かもしれない
相手を殺せますかな、貴殿は。
- ………………。
- ………………。
- かなり意地悪なことを言いました。
ただの可能性に過ぎませんよ。
- ですが、想像しておくのは悪くない。
現実はいつだって、残酷なのですから。