- くっ、なんということだ……。
大司教の安否も判然としないとは……。
- ……申し訳、ありません。
奇襲そのものには、成功したのですが……
- 我々の部隊は、レア様と分断され……。
そのまま、闇の魔道士たちの部隊に……。
- ……そうだったのだな。それでもなお
報告に来てくれたこと、感謝しよう。
- レア様たちが心配だわ……。
急いで助けに行かなくっちゃ。
- 焦っちゃ駄目だよ、メーチェ。
教団が苦戦するくらいの敵なんだから……
- ちゃんと用意を整えて行かないと、
あたしたちまでやられちゃうって。
- レア様は、わたくしたちの誰よりも
大修道院の構造にお詳しかったですわ。
- 事実、奇襲にも成功したはずなのに
それでも追い込まれてしまったなんて……。
- レア様は、大修道院の構造について
他の誰よりも熟知していたはずだ。
- たとえ少数の部隊だろうと、上手くやれば
大修道院を陥落させることもできただろう。
- ……やはり、闇の魔道士たちの存在が
計算を狂わせたのかもしれんな。
- ……陛下、ご報告です。指示のとおり、
大修道院周辺で情報を集めたところ……
- タレスと思われる人物が、皇帝を伴って
大修道院に入るのを見た者がおりました。
- 皇帝を……そうか。エーデルガルトは、
あのままタレスの手に……
- 皇帝を……そうか。やはりフェニヤ子爵の
言葉どおりだったようだな……。
- 今、帝国軍の指揮を執っているのは
皇帝ではなく、タレスなのだろう。
- 闇の魔道士の部隊は恐らく奴の麾下……
手練れが揃っていても何ら不思議ではない。
- そんな奴が相手だったら、
教団が苦戦するのも仕方ないってわけか。
- そんな人が相手だったら、
教団が苦戦するのも仕方ないってわけね。
- ああ……だが、これは好機でもある。
ここで奴さえ討てば、戦争に幕を下ろし……
- ……我が国を蝕んだ多くの因縁に、
決着をつけられる。
- フン、そんな動機があろうとなかろうと、
俺たちのやるべきことは一つきりだろうが。
- ああ。敵をぶっ倒して、勝つ。
勝って、平和な国を取り戻すんだろ。
- ええ。敵を倒して、勝つ。
勝って、平和な国を取り戻すんでしょ。
- ……そうだな。
- 同盟も、すでに帝国軍を破っているはずだ。
間もなくこちらに合流してくれるだろう。
- 同盟も、アリルで帝国軍を破っていれば
こちらに合流してくれるはずだ……。
- これは、フォドラの未来を
決定づける大事な一戦になる。
- そう悠長に事を構える時間はないが……
可能な限り、万全を期して臨もう。