link アッシュ volume_up
へえ、君も見たんだ……。 それじゃ、僕と同じだね。
link メルセデス volume_up
あら、アッシュ、ここにいたのね。 心配したのよ~。
link メルセデス volume_up
さっきの訓練で真っ青な顔をしていたから、 どこか具合が悪かったのかも、って。
link アッシュ volume_up
そ……そうかな? 顔色が悪く見えたのは、 きっと気のせいだよ。あは、あはは……。
link メルセデス volume_up
う~ん……? やっぱり笑顔が いつもより固い気がするのだけれど……。
link アッシュ volume_up
そうかな、はは、あはは…… ……はあ。メルセデスに隠し事は無駄か。
link アッシュ volume_up
訓練中に、斜面で足を滑らせてさ。 幸い、どこにも怪我はなかったんだけど……
link アッシュ volume_up
……その拍子に、ふと思い出したんだ。 子供の頃に見た、本物の幽霊のことを……。
link メルセデス volume_up
まあ、本物の幽霊? どんな姿だったの? 声は? 服装は?
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……あっ、ごめんなさい、私ったらつい。 嫌だったら、無理に話さなくてもいいのよ。
link アッシュ volume_up
いや、大丈夫……話すよ。いつまでも 怖がっていたって仕方ないからね。
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……ある時、義兄さんが熱を出してさ。 薬草を探して、朝早く山に入ったんだよ。
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それで、足場の悪い斜面を歩いていたら 霧の中に突然、大きな人影が現れたんだ。
link メルセデス volume_up
あら、あなたの他にも、 山を登っている人がいたのかしら~?
link アッシュ volume_up
いや……周りには他に誰の姿もなかったし、 声をかけても、返事はなかった。
link アッシュ volume_up
幽霊だと思って、慌てて逃げようとしたら 斜面で足を滑らせちゃって……
link メルセデス volume_up
あらあら、駄目じゃない。 足元にはちゃんと注意しないと~。
link アッシュ volume_up
そ、そうだけど。突っ込むところ、そこ? メルセデスはこの話、怖くないの?
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う~ん、まあ、そうねえ。 似たようなお話を、聞いたことがあるもの。
link メルセデス volume_up
昔ね、ある巡礼の方が、オグマ山脈で 大きくて、真っ黒な人影を見たんですって。
link メルセデス volume_up
幽霊だ、凶兆だって騒がれたそうだけど、 その真相は、全然違ったみたいなのよ~。
link アッシュ volume_up
大きくて、真っ黒な人影……。 幽霊じゃないなら、いったい何だったの?
link メルセデス volume_up
ふふ、自分の影が、 霧に映っただけだったんですって。
link アッシュ volume_up
え……ええっ!? じゃあまさか、僕が見たのも……。
link メルセデス volume_up
断定はできないけれど……もしかすると、 自分の影だったのかもしれないわね~。
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そ、そっか……! なんだ、長年自分の影に 怯えてたなんて、少し恥ずかしいな……。
link メルセデス volume_up
ううん、その話を知らなかったんだから、 幽霊だと勘違いするのも仕方ないわよ~。
link アッシュ volume_up
ありがとう、 そう言ってもらえると救われるよ……。
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あ、そうだ。まだ時間があるなら、 この人の話も聞いてもらえないかな。
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この人?
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うん。 彼も昔、本物の幽霊を見たんだって。
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……待って、アッシュ。 彼って……誰のことかしら?
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え……誰って、僕の隣に立ってる……。 あれ……?
link メルセデス volume_up
そんな人、最初から いなかったと思うけれど……。
link アッシュ volume_up
さ、最初から、いなかった……?  それって、つまり、彼が、ほ、本物の……。