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……つまり、あえて湿地に布陣することで 騎馬隊の勢いを削いだんですね?
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そのとおり。だがルーグの軍は、他にも あらかじめ万全の用意を整えていた……
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落とし穴を掘ったり、馬防柵を築いたり、 下準備があってこその勝利だったわけだ。
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なるほど……物語の中では、あまり詳しく 語られてはいませんでしたけど……
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調べてみると、ルーグ様は結構な軍略家 だったんですね。見方が変わりましたよ。
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シルヴァン、この作戦、今度の戦いに 応用できそうな気がしませんか?
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もちろんそのままとはいきませんけど、 前、君が薦めてくれた地理学の書物では……
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……はは、お前は凄いなあ、アッシュ。 教えたことをどんどん吸収していく。
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ロナート卿が見込んだだけのことはある。 こんな逸材が埋もれていたとは驚きだ。
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そんなことはありませんよ。 君の教え方が上手なだけです。
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仮にそうだったとしても、だ。 こう教え甲斐のある奴はなかなかいない。
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いやあ、陛下が心底羨ましいよ。 お前のような騎士がいるなんてさあ。
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なんだったら戦後、理由をつけてお前を うちの領地に連れて帰りたいくらいだ。
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勘弁してくださいよ、シルヴァン。 僕の主君は陛下だけなんですから……。
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おっと……振られちまった。 まあ、仕方がないか。
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けど、お前は一生王家の騎士として、 フェルディアに骨を埋めるつもりなのか?
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そのつもりではありましたけど…… 以前、陛下に相談されたんです。
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この戦争が終わったら、ロナート様の後を 継いで、ガスパール城主にならないかって。
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へえ……ガスパール城主。養子とはいえ、 一応お前はロナート卿の遺児なわけだしな。
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養子の身でロナート様を死なせた僕を、 街の人たちは認めないかもしれないけど……
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この仕事ができるのは、僕しかいない。 ……そうも思うんです。
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なるほど、そりゃ責任重大だ。ゴーティエに 来いだなんて、とても言ってられないな。
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ロナート様が守ってきた土地を、 次は僕の手で守りたい。
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ロナート様が僕を助けてくださったように、 今度は僕がみんなに手を差し伸べたい。
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やっと、手を伸ばすだけの力を つけられたんですからね。
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相変わらず生真面目だなあ。……けど、 それがお前の目標だってんなら応援するさ。
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王に仕える騎士にも教養は必要だが、 城主となると更に教養が必要になってくる。
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何か困った時には、いつでも頼ってくれよ。 できる範囲で教えてやるからさ。
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……あー、俺にもお前の 真面目さがうつっちまったかな。
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うつるも何も、君は元から 真面目な人じゃないですか。
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僕からしてみれば、物知りで、ちゃんと いろんなことを考えてるように見えますよ。
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まあ、士官学校時代の行いはさておき……。
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事実とはいえ、一言多いっつーの。
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あはは、冗談ですよ、シルヴァン。 またいろいろと教えてください。