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……アッシュ。良いところに来たな。
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どうしたの? それは……お茶だよね。 もしかして、休憩の邪魔をしちゃったかな。
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……いや。気にするな。 それよりもこの茶を、お前に飲んでほしい。
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え、いいけど……あっ。もしかして この薬草茶、ドゥドゥーが作ったの?
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……ああ。興味が湧いて、 薬草について少し調べてみた。
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陛下にお出ししようと思って、 試しにいくつか作ってみたんだが……
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お前に、率直な意見をもらいたい。
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なるほど、そういうことだったんだ。 それじゃあ、ありがたく頂こうかな。
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………………。 この味は……。
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……どうだ。
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ドゥドゥー。 この薬草って、もしかして……
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以前、お前が採ってきたのと同じ花だ。 いくつか他の薬草を混ぜて、蒸らした。
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王都の薬師がよく作るとも書いてあった。 ……口に、合わなかっただろうか。
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ううん、その逆だよ! なんだか、懐かしい味がして……
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ああ……そうだ。これ、僕がロナート様に 引き取っていただいた頃、飲んでいたんだ。
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……ロナート殿が、淹れていたのか。
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うん……。あの頃のことはまだ覚えてる。 ほら、僕、貴族とは無縁の生まれだから……
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ロナート様と一緒に暮らし始めた頃は、 何をするにも緊張しちゃって、大変だった。
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そんな時、あの方が淹れてくださった お茶を飲んだらすごく落ち着いたんだよね。
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……この茶には、気分を落ち着かせて 緊張を解く効果があるとも記されていた。
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ロナート殿は、お前が安心できるよう 手を尽くしていたのかもしれん。
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うん……ロナート様のことだから、 きっと僕を慮ってくれたんだろうと思う。
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本当に小さい頃の話だから、このお茶が どんなものなのかも聞かなかったけど……
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そうか……こういうお茶だったんだね。 2年も王都にいたのに、知らなかったよ。
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ロナート様は、リュファス様にも このお茶を振る舞っていたのかな。
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……本人から、話を聞いてはいないのか。
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うん。ずっと昔、リュファス様と 仲違いしてしまったみたいで……
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僕、あの方が王都にいた時の話は 全然聞いたことがないんだ。
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でも、薬草に造詣が深いのは、 君が陛下を気遣っているのと同じように……
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リュファス様に、何かしてあげたいと 思ったからだったのかもね。想像だけど。
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……そうかもしれんな。
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……さて。ごちそうさま、ドゥドゥー! 美味しかったし、すごく心が軽くなったよ。
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よければ作り方を教えてくれないかな。 これ、僕もみんなに振る舞ってあげたい。
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ああ……もちろんだ、アッシュ。