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……陛下。机で眠られては、 お風邪を召してしまいます。
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………………。 ……ドゥドゥー、か。
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またやってしまった……首が痛い。 起こしてくれて助かった、ドゥドゥー。
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いえ……酷くうなされておられましたので。
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……そうだったか。 昔の夢を、見ていたんだ。
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やはり、ダスカーの……。
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……いや。別の夢だ。 ダスカーから、王都に帰ってきた後の……。
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なあ、お前は覚えているか。 父上の葬儀の後、俺を罵った子供のこと。
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は。……ダスカーで死んだ騎士の、 息子だったそうですね。
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ダスカーの民に復讐をするどころか 従者にするなどあってはならない……
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今ここで従者を殺してみせろ、と言われて 俺は、ただ立ち去ることしかできなかった。
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あの日の死者も、残された生者でさえも、 皆、望むのは復讐だ。……復讐なんだ。
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……陛下。
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俺は、俺の義務を粛々と果たすだけだ。 苦しいと思ったことはない。だが……。
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……ドゥドゥー。もし俺が戦場に倒れ、 末期に復讐を望んだら、お前はどうする?
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果たします。たとえ四肢をもがれようとも。
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では、俺のことなど一切忘れて 幸せに生きろと言い残したら。
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……それは、果たせません。おれにとっての 幸せは、陛下と共に在ることだけですから。
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おれはあなたのためではなく おれ自身のために、復讐を果たすでしょう。
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お前自身のために……か。やはり、 俺が何を言おうと譲らないのだろうな。
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陛下は……陛下自身のために、 生きるつもりはないのですか。
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そもそも俺の命は、俺のものではない。 国のもの、死者のもの、そして民のものだ。
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だが……そうだな。もしも俺が、 違う運命の下に生を享けていたならば……
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お前とフォドラの外を旅して傭兵に、いや、 土を耕して生きるのも悪くなかったかもな。
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それは、叶わぬ夢なのでしょうか。 もしも陛下が望まれるのであれば……
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待て待て、冗談をそう真に受けるな。 適当に思いついたことを口にしただけだ。
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俺にも、譲れないものがある。 ……わかってくれるな、ドゥドゥー。
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……ならばせめて、 今日はもうお休みください。
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仕事が残っているのなら、お手伝いします。 眠れないのなら、話にも付き合いましょう。
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……机上に伏せっておられるのを見るたび、 どうしようもない不安に駆られるのです。
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もしや倒れられたのではないかと…… 息をしていないのではないか、と。
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馬鹿、本当に心配性だな。大丈夫だよ。 お前が気遣ってくれるおかげでな。
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ですが……
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……だが、万一お前を置いて 死ぬ羽目になったら……後が大変そうだ。
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今日ぐらいは、ありがたく お前の厚意に甘えておこうかな。
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……はい!