link マリアンヌ volume_up
今日も……お疲れ様でした。 いつもありがとうございます。
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いえいえ。 少しでも役に立ててるなら嬉しいです!
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「そこの丸いヤツ、飼い葉を寄越せ」? そ、そんな失礼な言い方、駄目よ……。
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すみません……。この子、すっかり イグナーツさんに慣れてしまって……。
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いえ、慣れてくれるのは大歓迎です! 丸いヤツって呼び方は、残念ですけど。
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……その、イグナーツさんは何で、 ずっと天馬の世話を……?
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絵を描くだけなら、こんなに頑張らなくても いいと思うんですが。
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そうですね……。 夢のため、でしょうか。
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君が拾ってくれた絵、あれはボクが幼い頃、 母と乗った天馬を想って描いたんです。
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お母様と、ですか……?
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ええ。母は昔、天馬騎士だったみたいで。 興味を持ったボクを乗せてくれました。
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でもいざ飛び立ったら物凄く怖くて、 夢中で母の腰にしがみついて……
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ふと気づいたら、ボクの目の前には呆気に 取られるほどの景色が広がっていたんです。
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地上からでは見えない、雄大なレスターの 大地は……ボクの心を強く震わせました。
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それで、絵を……。
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いや、天馬騎士になろうと思ったんです。 子供の頃の、他愛もない夢の一つですが。
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その後すぐ、天馬は大人の男を乗せない 生き物だと母に教えてもらって……。
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まあ、そうですよね……。
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天馬騎士になる夢は叶いませんでしたが、 想像の中でなら僕は何にでもなれる……
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こうして天馬に触れることで、より鮮明に 大空を駆ける自分を想像できるんです。
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……まだ天馬に乗りたいという気持ちを 大切に持ち続けているんですね。
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私には……イグナーツさんの熱い想い、 絵を通じて確かに伝わりました。
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えっ、ぼ、ボクの想いですか!? 伝わったって……
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はい。イグナーツさんが天馬のこと、 とても想っているって、伝わりました。
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あ、そういう意味ですか……。
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その想いがもし通じていたら、この子も あなたのことを乗せてくれるかも……。
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え、いや……。 それはないんじゃないですか……?
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でも、すごく慣れてきていますし、 何より……私が見たいんです。
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イグナーツさんの夢が叶うところ…… 夢なんて、叶わないって思ってたから……。
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マリアンヌさんにそう言われたら、 断れませんね。わかりました。
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お願いします。ボクを……この丸いヤツを、 空へと運んでくれませんか?
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えっ、ちょっと、あっ、 ちがっ! 違いますよ! そうじゃなくて!
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うわああああ! 確かに飛んでるけど、違いますううう!
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イグナーツさんの服をくわえて、 飛んでいってしまうなんて……。
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ああ……服が破れて、 落ちたりしないでしょうか。
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これじゃ景色を見る余裕なんて……! 助けて、マリアンヌさん!