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うーん……こうすれば…… いや、ああすれば……。
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あら、リシテア～。 厨房にいるなんて珍しいじゃない。
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メルセデスこそ、 こんな時間に何しに来たんです？
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ふふ、軍のみんなに お菓子を焼いてあげようと思って～。
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なるほど……甘いお菓子で 兵の士気を上げようというわけですね。
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それなら、わたしも手伝いますよ。 あんた一人じゃ、到底回らないでしょう？
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そうねえ……じゃあ、頼んでもいいかしら？ まずは果物の皮剥きを……あら？
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どうしたんです？
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この果物、ほとんど傷んじゃってるわ～。 香りづけに使おうと思ったのに……。
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勝手に買いに行くわけにもいかないし、 果物は諦めたほうがよさそうね～……。
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メルセデス、一応聞きますけど、 今、厨房でお菓子に使える材料は何ですか？
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ええと、卵と小麦粉とお砂糖と…… それから少しだけれど、種油があったわ。
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代わり映えしない材料しかないなら、 作り方のほうを工夫すればいいんです。
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工夫？ 何かいい案があるのかしら～？
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そうですね……例えばほら、 鍋に入れた砂糖をよく煮詰めて……。
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ありがとう、リシテア。 おかげでみんなに楽しんでもらえたわ。
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二つに割ったらお砂糖の蜜が出てくるなんて とっても素敵な発想ね～。
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ふふ、わたしの自信作ですからね。 ……でも、半分はメルセデスのおかげ。
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まあ、私の？ 確かに、作るのは手伝ったけれど……。
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この前、あんたがくれた虹色の焼き菓子。 あれがどうにも忘れられなくて……
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もっと美味しいお菓子を作ってやろうと、 休憩時間にお菓子の研究を始めたんです。
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それで思いついたんだから、 あんたのおかげでも間違いじゃないでしょ。
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リシテア……でも、訓練で忙しいのに しっかり休まなくて大丈夫なの～？
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作るのだって、気分転換になりますし。 忙しいからこそ、お菓子は必要なんです。
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ふふっ……そう。 あなたなりの休み方を見つけたってことね。
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はい。体を鍛えたり、魔法を覚えたり 日々の訓練も、もちろん大事ですけど……
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時にはこうして休憩を挟んだほうが、 訓練もはかどるって気づいたんです。
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あらあら。 リシテア、あなた本当に変わったわね～。
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余裕が出てきたというか、 前よりも、お姉さんになった気がするわ。
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お姉さんって…… わたし、最初からお姉さんですし。
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う～ん……もっと大人の女性？ じゃあ、お母さんかしら～？
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それはちょっと違う気も……まあいいです。 そういうことにしておいてあげます。
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ねえリシテア、またお茶会をしない？ あなたのお菓子、他にも食べてみたいわ～。
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たまにならいいですよ。メルセデスからは、 有意義な助言も貰えそうですしね。