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イングリット、 街中をふらついてるなんて珍しいわね。
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……! ……い、いえ、少し視察を。 あなたこそ、買い物か何かですか?
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うん、さっきドゥドゥーに 食材の買い出しを頼まれたの。
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そ、そうでしたか。食材を買うなら、 川の向こうの通りが良いと思いますよ。
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……どうしたのよ、慌てて。 隠れて何かやってたの?
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い、いえ! 本当に何も! こ、この街なら何でも揃いそうですよね。
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ええ。この辺は、王国の中でも 栄えてるほうよね。
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はい。あまり豊かな土地でないのは、 ガラテア領とも変わりないのですが……
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美しく整備された街並みといい、人々の 活気といい、まるで別の国に来たようです。
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鍛冶屋が軒を連ねる通りは壮観でしたよ。 それに、露店からは美味しそうな香りが……
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……ではなくて。 本当に、活気に溢れた良い街だと感じます。
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そうね、私も同感よ。 街の活気の割に治安も良いようだし。
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ふふ、私もガラテアの次期当主として、 参考にすべきことがたくさんありそうです。
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露店に行ってみる? 食べ歩きを したところで、誰も何も言わないわよ。
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肉の串焼きもあったし、今の季節だと 果物や魚なんかも美味しいんじゃない?
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まあ、本当ですか! それは是非とも食べてみたいもの……
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あ……いえ。これでも一応、 ガラテア家の次期当主ですので……。
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ガラテア家の次期当主、ね。 前にした話、答えは見つかったの?
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いえ、まだ。私が今日ここへ来たのも、 その答えを探すためです。
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……騎士として、陛下を側でお守りするのが 私の夢……私の大事な人の、職務でした。
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彼と同じ騎士になれなくとも、 彼のように陛下を守ることはできるはず。
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例えば、家を挙げて農業を学び…… 兵士たちと、王領の耕作に出向くとか。
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あら、それは面白そう。 領主自ら、他家の領地を耕しに行くのね。
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確かに、そうして王領が豊かになったら、 王家に不満を持つ人たちも減るだろうし……
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結果的には、王を守ることに 繋がってくのかもしれないわ。
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何にせよ、あなたが自分で選んだ道なら、 私は友として全力で応援するだけよ。
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では折角ですし、私が家督を継いだ暁には あなたにも手伝ってもらいましょうか。
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私の祖母が、傭兵団の者たちに さまざまな仕事を頼んでいたように。
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何でそうなるのよ。領主様に代わって、 毎日美味しい串焼きを買ってって?
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も、もうっ、何を言っているんですか!
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冗談よ。でも、応援したい気持ちは 本物だから。頑張ってね、イングリット。
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それなら、もしイングリットが ガラテア伯爵の位を継いだ暁には……
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私も雇ってもらおうかしら。 前に話した、トビアス傭兵団みたいに。
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あら、その時には私の片腕として、 いろいろと働いてもらいますよ?
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私の祖母が、傭兵団の者たちに さまざまな仕事を頼んでいたように。
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私の祖母が、傭兵団の者たちに さまざまな仕事を頼んでいたように。
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任せといて。何なら領主様に代わって、 毎日美味しい串焼きを買ってきてあげるわ。
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も、もうっ、何を言っているんですか!
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……けれど、ありがとうございます。 ふふ。その言葉、覚えておいてくださいね。