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……なるほど。では、今日の陛下は紅茶を 飲まれなかったと。珍しいですね。
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確か、前回は15日前でした。 陛下が飲まなかった日の傾向は……
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ねえ、私は何をやらされてるの?
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毎日こんなこと記録する意味ある? もっと適当でいいでしょ。
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何を言っているんですか。 陛下の偉業ですよ。
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しっかりと記録しておいて、 帝国の歴史に刻まなければなりません。
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いや、偉業なら刻んでもいいんだけど、 紅茶を飲んだかどうかなんて……
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明らかに要らない情報よね。
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しかも、よく覚えてるわね。 前に紅茶を飲まなかった日なんて。
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ふふふ、陛下のことであれば、 何でも覚えていますよ。
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あたしにかけてくださった言葉の数々、 召し上がった毎日の献立……
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ため息をおつきになった回数、 お持ちになっているお気に入りの……
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ちょっと待って。 途中からおかしい。明らかにおかしいから。
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何がおかしいんですか? すべて記録しておくべきことですよ。
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おかしいわ。 よく考えてみて。
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歴代の皇帝の記録や歴史書なんかに、 皇帝のついたため息の回数が載ってたの?
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これまでは、あたしみたいに正確に記憶して 記録をつけられる人がいなかっただけです。
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あたしのこの記憶力は、陛下の偉業を 記すために存在してるんですから。
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……そうね。 そういう考え方もあるかもしれないわ。
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わかってくれましたか。あたしの記憶力は、 このために存在してるんですから。
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けど、仮にそれが正しかったとして、 私が手伝う必要ないわよね?
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ありますよ。 陛下があなたを重用していますからね。
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よく陛下と言葉を交わしていますし、 一緒にいる時間も多いでしょう。
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あたしだけでは確認し切れない情報を 入手し、あたしに報告してくれるのに……
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あなたほどの適任はいないんです。
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はあ……まあいいわ。 あなたが真剣にやってるのはわかるから……
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暇な時に手伝うくらいは構わないわよ。 害も……そうない気はするしね。
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流石は陛下に見込まれたお人……! 頼もしいですね。
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悔しいですが、日々、陛下からの信頼が 厚くなっているのも頷けます。
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こうなったら……特別にあなたにも 許可を与えるしかないようですね。
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[HERO_MF]、あなたが陛下に 愛を捧げることを許しましょう。
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良かった、これであなたから妬かれることも なくなるって話で大丈夫?
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そうですね。あたしたちは、陛下に愛を 捧げた同志ってことになるんですから。
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そう……私に何ができるかわからないけど、 あんまり期待しないでよね。
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そんな許しを私が欲しがると思う? 愛を捧げるって……何をするのよ。
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何をするって、むしろ、陛下を敬愛し、 お慕い申し上げる以外に何をするんですか?
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私に聞かないで。 とにかく、許しは要らないから。
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いいです、今はまだ陛下の魅力を 完全には理解していないのでしょう。
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あたしと一緒に偉業を記録することで、 絶対に目覚めるはずですから。
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あなたが陛下の信奉者となれることを、 願っています、[HERO_MF]。
link シェズ volume_up
え、ええ……。