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ねえ、ロドリグさん。 聞いてくれる?
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どうしたのです、[HERO_MF]殿。 そんな真剣な顔をして……。
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結局、今年の冬は戦いに 明け暮れることになっちゃったわ。
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けど、もしも戦いが次の冬までに 一段落して、北に帰れてたら……
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……帰れていたら?
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雪玉をぶつけ合って、遊んでみたいの。
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ディミトリから聞いたけど、ファーガスの 子供たちは、冬の間そうやって遊ぶのよね?
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実を言うと、まだやったことがなくて。 折角王国にいるんだからやってみたいのよ。
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……ははは! なるほど、良いですね! あれはなかなか奥の深い遊びですよ。
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いくつかの陣営に分かれて戦えば、 戦術の重要性が増し、面白くなるんです。
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戦術……雪玉をぶつけ合うだけなのに、 相当本気でやってたのね……。
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私がまだ幼い頃、私と先王陛下、辺境伯の 3人で、腕を競ったことがありました。
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同じ年頃の従士たちをそれぞれに 引き連れて冬の山に入り、戦ったのですよ。
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ふふ……楽しそう。 戦いの行方はどうなったの?
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まず、最初に餌食になったのは私でした。 静かに敵の出方を窺っていたのですが……
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先王陛下は、従士たちを適当に戦わせ、 一人で敵将……私に奇襲をかけてきました。
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結局誰もあいつを仕留めることはできず、 当たり前のように敗北を喫しましたね。
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流石はディミトリの父さんというか、 一人で斬り込みたがるのは同じなのね……。
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はは、あそこまで行くと、もう悔しいとか そういう気持ちも湧いてこないものです。
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問題は辺境伯……マティアスのほうです。 彼は昔から非常に性格の悪い男でして……
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森の中の至るところに伏兵を仕掛け、 先王陛下を待ち構えていました。
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雪遊びで伏兵? ……シルヴァンが 悪知恵の働く人のも頷けるわね。
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それで、どうなったの?
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マティアスの性格は皆知っていましたから、 先王陛下も伏兵を避けて進んだそうです。
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そしてとうとう、大将同士が 相見えたはいいものの…。
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私たちよりだいぶ年長のグンナル…… 今のガラテア伯が、やってきたのです……!
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私たち3人は彼に首根っこを掴まれ、 雪山は危ないと連れ戻されましてねえ。
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流石はイングリットの父さんね。 結局、決着はつかなかったってことかしら。
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それは3人ともがっくりきたでしょうね。 ふふ、しっかりオチまでついちゃって。
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もう何十年も昔の話ですが、 今でも忘れがたい思い出ですよ。
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今冬、もし雪山へ遊びに行くのなら、 その時は是非、私にも見学させてください。
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ええ、その時には絶対に声をかけるわ。 まあ戦争が終わってるのが一番なんだけど。
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ははは、戦争が終わっていたならいたで、 その時は羽を伸ばして遊び倒すべきですよ。
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あなたは参加しなくていいの? ディミトリや辺境伯に話を通しておけば……
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まったく同じ相手とはいかないけど、 昔の雪辱を果たせるかもしれないわよ。
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む……なるほど、確かにそれはそうですね。 では、その時には是非参加させてください。
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冬を迎えるのは気が重かったのですが 少しばかり、楽しみになってきましたよ。