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珍しいな、お前が部屋に籠もりっ放しとは。 魔道の本を読み漁ってるって聞いたが。
link シルヴァン volume_up
俺にも本を読みたくなる時くらいあるさ。 ……実は、ちょっと悪巧みを思いついてね。
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悪巧み? ……その図面は?
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おっと、よくぞ聞いてくれたな! こいつは新しい魔道砲台の設計図だ。
link シェズ volume_up
へえ、魔道砲台か……にしては、 だいぶ小さいように見えるが。
link シルヴァン volume_up
おう。小型化も一つの課題だからな。 騎士が手軽に持ち運べる大きさが理想的だ。
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騎士が持ち運ぶのか? 魔道砲台を? 持ち運べたところで、使いこなせないだろ。
link シルヴァン volume_up
そうだな。お前の言うとおり、魔道砲台は 特別な知識と技能がないと使えないが……
link シルヴァン volume_up
そいつを上手く改良して、誰でも 使えるようにするってのが一番の課題だな。
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ほら、こいつを騎士や剣士が使いこなせれば いろいろと悪いことができそうじゃないか?
link シェズ volume_up
なるほど。良い考えだな、シルヴァン。 何か、面白い戦術を編み出せそうだ。
link シルヴァン volume_up
そうだろ、そうだろ? お前なら 絶対にわかってくれると思ってたぜ。
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それ、役に立つのか? 騎士や剣士は、 得物で戦ったほうが手っ取り早いと思うが。
link シルヴァン volume_up
……俺たちの身近にいるのがそういう連中 ばかりだから、そう思っちまうだけだって。
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とはいえ、まだまだ完成は遠そうだがな。 日の目を見られるのはいつになるやら。
link シェズ volume_up
はは、その頃には、戦争なんて 終わっちまってるかもしれないぞ。
link シルヴァン volume_up
戦場以外でも役に立つさ。身を守る術のない 人が、自分の身を守れるようになるとかな。
link シェズ volume_up
へえ。そういえば、前にも俺の剣に 興味を持ってたよな。
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ゴーティエにスレンっていう積年の敵が いるからか? そういうこと考えるのって。
link シルヴァン volume_up
まあ……そんなところさ。連中には、 辛酸を舐めさせられっぱなしだしな。
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父上の前妻……兄上の母親も、 スレンの襲撃で亡くなったと聞いている。
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ここ100年くらいは、遺産のおかげで 領土の境界が揺らぐことはなかったが……
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連中は懲りずに襲ってくるからなあ。 あの執念にはむしろ敬服しちまうくらいだ。
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ゴーティエ辺境伯も、スレンの襲撃には 慣れっこって感じだもんな。
link シルヴァン volume_up
……父上も、きっと 慣れたくて慣れたわけじゃないさ。
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俺も家督を継いだら、手は尽くすつもりだが やっぱり牽制のための兵力は必要になる。
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例えば、国王軍……常備軍を新設して、 王権の元に強力な軍を作る手もあるが……
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先王陛下はその方向に舵を切ろうとして、 反発する諸侯から恨みを買った。
link シェズ volume_up
王様が強くなれば、相対的に諸侯の力が 弱まっちまうもんな。受け入れ難いか。
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国が乱れるのは、俺も勘弁願いたい。 穏便に、堅実に、改革を進めたいわけだ。
link シルヴァン volume_up
そのためにこそ今、遺産にも諸侯にも頼らず 戦力を底上げする方法が欲しいんだよ。
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変わったな、シルヴァン。すっかり、 ゴーティエ家の御曹司らしくなった。
link シェズ volume_up
昔は女の子に鼻の下を伸ばしてばっかり だったのに……。
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下手すりゃ自分の家が滅びかねないんだぜ? どんな怠け者だって、少しは頭を使うさ。
link シルヴァン volume_up
王国は寒くてつまらない土地ではあるが、 俺にとっては、唯一無二の故郷なんだしな。
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……故郷、か。