0. ………………。
1. ……あれ、[HERO_MF]。 何してるの？
2. アッシュ？　いえ、ちょっと本をね……。 あなたはこの指南書、読んだことある？
3. あ、その本か。あるよ。何年か前に、 レスターで流行った戦術の指南書だよね。
4. 大修道院にいた頃に読んだけど、難しい 言い回しが多くて、読むのは大変だったな。
5. 確かに結構小難しい本だけど、 参考になる部分もあると思ってね。
6. ……君、コーデリア領の山奥の村で 生まれ育ったって話だったよね？
7. うん？　ええ、そうだけど……。
8. 士官学校時代から気になっていたんだけど よく、こんなに難解な文章を読めるよね。
9. 貴族や、裕福な家の出だったら 読めるのも当然なのかもしれないけど……
10. いったい誰に教わったんだろうと思って。 ……あっ、気を悪くしたらごめんね。
11. いえ、気にしなくていいわ。私に読み書きを 教えてくれたのは、育ての母よ。
12. 今思えば、あんな山奥で暮らしてるのが 不思議なくらい、博識な人だったわね。
13. へえ……もしかしたら、 何か事情があったのかもしれないね。
14. 母さんは昔の話をしたがらなかったから。 過去については、全然知らないのよ。
15. だけど、すごく教養がある人だったって いうのは、君を見ていればわかるよ。
16. 読み書きだけじゃなく、計算や 地図の見方だって知っていたでしょ？
17. お城で育った貴族や騎士の人たちと、 そう変わらないんじゃないかと思うよ。
18. 喜ぶ
19. 疑問を持つ
20. そこまで言われると、少し照れちゃうわね。
21. それだけ気合を入れて育ててくれた 母さんに感謝しないと。
22. うん。君のお母さんは、間違いなく 凄い人だったんだろうと思うよ。
23. うーん、そういうものなの？ たいしたことじゃないと思うんだけど。
24. たいしたことだよ。少なくとも平民で、 ここまで読み書きが達者な人は少ない。
25. そもそも、難しい書物なんて読めなくても ただ暮らしていく分には支障がないからね。
26. 僕もロナート様に出会うまでは、 本なんて読んだこともなかった。
27. ……確かに、傭兵団で読み書きができたのは 団長と私と、あと数人だったかも。
28. 母さんは、いったいどこで そんな知識を身につけたのかしら。
29. といっても、母さんが死んだ今、 過去を知る方法なんてないからね。
30. [HERO_MF]……。