1. ふっ……!
  2. ……退屈そうね。
  3. ……相手のいない戦いなど、無意味。 剣は、殺し合ってこそだ……。
  4. 貴方らしい理由だわ。 戦争は、さぞや良い糧になるのでしょう。
  5. 貴方……いえ、“死神”のように、 戦争を歓迎する者もいるということね。
  6. ……ああ。この戦争が始まらずとも、 私はきっと、人を殺していたはずだ……。
  7. ……戦争が終われば、私の役目も終わる。 皇帝との契約も、そこで終わりだ……。
  8. その時には……罰を受けねばなるまい。
  9. まだ考えは変わらないの? 確かに罪だけを 見れば、貴方の言うとおり罰は必要よ。
  10. けれど……功をもって罪をあがなうという 方法だって残っているわ。
  11. 汚いやり方と忌避するかしら?
  12. 殺されたバルテルス家の者たちにだって、 罪はあったのよ。
  13. ………………。
  14. ……たとえお前がそれを望んだとしても、 私は……それを望まない。
  15. 私の行く末は、私が決める……。 どう生きるかも、どう死ぬかも。
  16. ………………。
  17. ふふ……私としては残念だけれど、 貴方の意思は尊重する。
  18. 死ぬよりも、生きて罰を受ける道を選んで くれたこと自体は喜ばしいし、ね。
  19. ……私は牢獄に入り、罰を受ける。 そして許されたその時には……いや……
  20. ……私は牢獄に入り、罰を受ける。 それが私にできる唯一の……いや……
  21. たとえ牢の中で、寿命が尽きようと…… 私の歩むべき道は、他にない。
  22. 貴方の決意が果たされることを、 私は願っているわ。
  23. 人が己の意思によって生き方を決められる。
  24. そういう世界こそが、私が戦いを起こして までも望んだものなのだから。
  25. ……すまない。 これまでの計らいには……感謝している。
  26. 謝る必要はないわ。 私も、貴方の働きに感謝している。
  27. ありがとう、エミール。 ……いえ。イエリッツァ、だったわ。
  28. ………………。
  29. 今日は、その名で呼ぶなと言わないのね。 少しは許してもらえたのかしら。
  30. ………………。
  31. 今は互いの未来に向かって、 戦い続けましょう。
  32. ……ああ。