- はあ……。
今日の軍議は紛糾しちまったな……。
- まあ時間はあるし、好きなだけ
議論してもらって構わないんだが……
- 俺は抜け出して、ひと休みといくか。
小腹も空いたことだし。
- さて、食糧庫に何か果物でも……ん?
- あれ? クロじゃん。
- ハピ、お前いつの間に……。
軍議にいたはずじゃなかったか?
- さっきからここにいたし。
お腹空いたから、こっそり出てきたの。
- 抜け出すのが上手いな。
この俺が気づけなかったとは……。
- ハピはいてもいなくても、
たいして変わらないからじゃない?
- ていうか、キミも抜け出してきたの?
怒られても知らないし。
- 軍議を抜け出したって意味では、
お前も俺も同罪だろ。
- いや、ただのハピと、王様のクロじゃ
重要さが違うって……。
- ハピは怒られたって別にいいけど、
キミはそれで済むかな?
- ぐっ……正論すぎて何も言い返せない。
- ……ねえ、クロってさ。
そうやってたまーに抜けたことするけど。
- 今の立場、背負いたくて背負ってるの?
それとも代わりがいるならやめたい?
- 前に言っただろ。
俺は叶えたいことのためにやってるんだ。
- 確かに背負ってるもんは重いが、
誰かに代わってほしくはないな。
- そっかー。
ハピ、応援だけじゃダメかも。
- 駄目って? どういうことだ?
- ハピは背負ってるものなんてないじゃん?
- だから、キミが背負う手伝いだってできる。
そーしたほうがいいかなって。
- いや、お前は背負ってるもんはなくても、
縛られてるもんがあるだろ。
- そんなお前に、俺の背負ってる重い荷物を
持ってもらうってのもなあ。
- でも、独りで背負って潰れちゃったら、
それはそれでハピにも迷惑かかるじゃん?
- ハピはキミが思ってるほど、
弱くはないと思うんだよねー。
- お前に手伝ってもらっても、
「きっと上手くいく」か?
- そーだね。
きっと上手くいく。
- だったら、お前の厚意に甘えさせて
もらうことにするか。
- うん、任せるし。
- じゃ、早速だがハピに難題だ。
- 俺たちが軍議を抜け出したことを、
どうやって誤魔化せばいいと思う?
- えー、それは背負えないから……
一緒に怒られてあげるじゃん。
- いやいや、お前、俺は怒られるだけじゃ
済まないってさっき言ってたよな!?