- おや、ハピ殿。
帝国軍の居心地はいかがですか?
- 別に、フツーかな。
知らない人が多いところは、気楽かも。
- それは何よりです。不満を抱かれて事故が
起こってしまっても、困りますのでね。
- 不満がないわけないじゃん?
ヒューのその言い方とかさ。
- でもそんなんで、事故を起こしてたら、
命がいくらあっても足りないし。
- 左様でしょうな。……ところで、こちらの
提案は検討していただけましたか?
- 私としても心苦しい話なのですが、
使えるものは使う方針ですので。
- 正直、神経を疑ったし。
そりゃー使えるもんだろーけど。
- 使われるハピの気分は考えたりしないわけ?
- 考えた上で、なのですがね……。
- 貴殿は、ため息をつきたいと思わないので?
好き放題につける機会を設けるのですよ。
- むしろ何でつきたいと思うし。
- 私は貴殿ではありませんので、
答えは持ち合わせておりませんな。
- ただ、他人が当たり前のようにしている
ことを自分だけ禁じられているのは……
- 愉快ではないのではと。
想像したのみですよ。
- あ、そ。
お断りじゃん。
- もしヒューが塵ほどでもハピの気持ちを
考えてくれてたとしたら、的外れだから。
- やれやれ。ハピ殿の呼び寄せる魔獣を
戦力として利用しつつ……
- 彼女の、文字どおり「息抜き」にでも
なればと思ったのですが。
- ……人の心がない、と、また誤解されたと、
我が主に皮肉られてしまいそうですな。
- げ、ヒューじゃん。
また?
- ハピ殿、貴殿の心が少しでも休まればと
思って菓子と紅茶を用意させています。
- いかがですか?
不要であれば自分で処理してしまいますが。
- な、なに?
どーしても言うことを聞かせたいわけ?
- ハピ、絶対にお断りだし。
もう近づかないで。
- いえいえ、とんでもありません。
そのような下心などありませんよ。
- まったく信じられないじゃん。
- 残念ながら、そのようです。
では、私はこれで。
- 自分で飲むのであれば、紅茶ではなく
テフを用意すべきでしたな……。
- テフって何?
- 貴殿には関係のない話ですよ。
邪魔をしました。
- ……っ、危ない危ない。