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名家の跡継ぎ:黄燎の章
EP.6 - 盟主の秘策
« 逆襲
獣たちの競演 »
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ローレンツ
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父上……ただ今、戻りました。
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エルヴィン
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うむ……。
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ローレンツ
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偽りの臣従、ミルディン大橋の急襲、 父上の采配は実に見事でした。
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ローレンツ
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ですが、なぜ僕にまで黙っていたのですか。 知っていれば、僕も父上と共に……
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エルヴィン
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そうはいかない。デアドラが陥落していれば 私はこのまま帝国に降るつもりだった。
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エルヴィン
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裏切者の汚名を被るのは私一人で十分…… お前はあくまで清廉であるべきなのだ。
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エルヴィン
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名門グロスタール家の嫡子としてな。
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ローレンツ
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父上……
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エルヴィン
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しかし、クロードは恐ろしい男だ。 今回は奴の口車に乗せられ策に従ったが……
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エルヴィン
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結果、我が領内の一部が戦場となり、 領民を危険に晒すこととなってしまった。
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ローレンツ
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ですが……今回の戦果を踏まえれば、 被害は微々たるものであったはずです。
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エルヴィン
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その微々たる被害を無視しては領主失格…… という感覚は、クロードにはないのだろう。
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ローレンツ
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それは……。
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エルヴィン
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ローレンツよ、私はこれ以上、 あの危険な若者に従う気はないぞ。
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ローレンツ
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まさか……同盟を離脱するおつもりですか?
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エルヴィン
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そうではない。 私はもう引退させてもらう。
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ローレンツ
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父上!?
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エルヴィン
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私はあの盟主と共に歩んではいけない。 たとえ同盟を救えるのがあの男だとしても。
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エルヴィン
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お前なら、私よりも上手くクロードと 付き合えるだろう?
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ローレンツ
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僕に当主を継げ、と…… 本当に、それでよろしいのですね?
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エルヴィン
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ローレンツ……我が息子よ、これまで お前には私の思想を押しつけてきたが……
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エルヴィン
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それも今日までだ。今後はお前自身の 信念に従って行動することだ。
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エルヴィン
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ただし、グロスタール家が守るべき 領民のことを決して忘れてはならぬぞ。
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ローレンツ
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承知いたしました。グロスタール家当主の 大役、謹んでお受けいたしましょう。