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陛下、忙しいところ申し訳ないが少し 時間を貰えるか。重要な話だ。
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あんたに重要な話があると言われたら、 聞かないわけにいかないだろ。
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それで、何の話だ? 思い当たることが ありすぎて逆に見当がつかないんだが。
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我々はレスターの旧き盟約を脱ぎ捨てて 連邦国として再出発を果たした。
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更には帝国との共闘を約し、王国を打倒して 中央教会を排除せんとしている。
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そのとおりだが……それについては、 ホルストさんも納得してくれてるんだろ?
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無論な。いやむしろ、陛下にとって 一番の理解者たらんと決意しているほどだ。
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ありがたいね。あんたが支持してくれる限り 俺の王位は安泰だろうさ。
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君ならばきっと戦争の目的を達することが できるだろう。だが……問題はその先だ。
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君はこのフォドラから中央教会の権威を 排除し、秩序を作り直したいと言う。
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ああ、今のフォドラを縛っている秩序は、 すべて教団が意図的に作り上げたものだ。
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いいところもないわけじゃないが、結局は セイロス教の権威を守ることが目的さ。
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そんなものを有難がっている限り、 フォドラは先に進めない。そうだろう?
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だから戦後は、既存の貴族制や 信仰の在り方を一から見直し……
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異教徒や異民族とも積極的に交流する。 ……という認識で間違っていないな?
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ああ、理解していてくれて嬉しいよ。 俺は、今の閉鎖的な状況を打破したいんだ。
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つまり……例えばフォドラの喉元を開き、 パルミラとも友好的な関係を築くつもりか?
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ああ、もちろんだ。向こうの態度次第では あるが、そうしたいという希望はあるよ。
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ならばその一手として、長らくパルミラの 宿敵と目されていた我がゴネリル家……
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その一人娘と、パルミラ王家の婚姻を 成立させるようなこともあり得ると?
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へ? それってヒルダのことか?
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まあ、そうなる。当家の一人娘といえば ヒルダしかいないからな。
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ははーん。ホルストさんが気にしているのは ヒルダの将来か。
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心配しないでくれ、いくらレスター王でも 他人の家の嫁ぎ先にまで口は出さないよ。
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だが、次のパルミラ王が実は悪くない男で、 ヒルダのほうが気に入ってしまったら?
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はあ? そりゃヒルダが嫁ぎたいってんなら 俺は止めないが……何の話だ?
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ああ、すまない。少し妄想が過ぎたようだ。 ……私とて、ヒルダが望むなら止められん。
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いや、まだ妄想が続いてるようだが……。
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私はただ、レスターの未来と同じくらい、 いやそれ以上にヒルダの将来が心配なのだ。
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承知してるって。……ホルストさん、 これだけは伝えておくよ。
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俺はレスターの未来も、ヒルダの将来も、 明るいものになると信じている。
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だからホルストさんも、俺を信じてほしい。
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……その言葉、このホルストの胸に しかと刻み付けたぞ。
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陛下、これからもヒルダのことを頼む。
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ああ、わかった。 しかし何だか、その言葉が妙に重いな……。