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……すまない。必ず復讐は果たす。 だから、もう少し待っていてくれ。
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お前たちを死に追いやった者を暴き…… どんな形であれ、必ず果たす。だから……
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おい。
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グレ……いや、フェリクスか。 ……見苦しいところを見せたな。
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もう20年も付き合ってきた相手に、 今更、見苦しいも何もあるものか。
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皆もすっかり寝静まった頃だというのに 一人で礼拝堂に籠もって何をしていた。
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お前の声が聞こえて何事かと思ったが、 白昼夢でも見ていたのか。
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……お前には、隠したところで無駄か。
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白昼夢……のようなものだ。あの日死んだ 者たちが、昼夜を問わず立ち現れてくる。
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もしあの事件に帝国が関わっていたのなら、 皇帝がそれを黙認していたのなら……
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……あの日の死者と同じ最期を与えろと 叫んでいる。胸をえぐり、首をはねて……。
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いつからだ。 そんなものを見るようになったのは。
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6年前から……だが、 声を聞いたのは4年前……初陣の時だ。
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敵軍の将の顔を、俺は知っていた。 ……ダスカーで見た顔だった。
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奴の首を落とした時、皆が、声を上げて 笑ったんだ。泣いて苦しんでいた者たちが。
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……納得はできんが、 まあいろいろと腑には落ちた。
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だがな、兄上も先王陛下も、他の者たちも そうしてお前を責め苛んだりするものか。
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お前が安穏と生きていくのを 許していないのは、他でもないお前自身だ。
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……誰が俺を許すと言おうと、 俺は死ぬまで自分を許すつもりはない。
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安心しろ、お前にそんな器用な芸当が できるなど、俺は毛ほども期待していない。
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だが、お前は皆を導く国王だ。 お前が惑えば、皆も行くべき道を失う。
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その苛烈な復讐心は、胸にしまっておけ。 それは俺だけが知っていればいいものだ。
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……要するに、弱音を吐くなら お前の前だけにしろ、ということか?
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フン……。
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……俺が畜生に堕さずにいられるのは、 こうしてお前が受け止めてくれるからだ。
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ルーグにとってのキーフォンが、父上に とってのロドリグがそうだったように……
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これからも俺の右腕として 側にいてくれ、フェリクス。
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……右腕、か。 まあ、悪くない響きだ。ならば……
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……! おいフェリクス、いきなり何を……
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右腕としての責を果たさせてもらう。まず、 休み方を知らん王を寝台に放り込まねばな。
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なあ……俺を背負って運ぶつもりか? 無茶はするな。足が床についたまま……
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黙れ、貴様が馬鹿でかく育ったせいだ! この筋肉の塊め、運びにくいにも程がある。
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……昔もこんなことがあったな。 あの時は足を挫いたお前を、俺が運んだ。
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ああ、あれは良い訓練になっただろう? 今度は俺の訓練に付き合え、ディミトリ。
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くく……ああ、そうだな。