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……ロドリグ、少しいいだろうか。 お前に聞きたいことがあってな。
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もちろん、陛下のご要望とあらば。 聞きたいことというのは?
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俺は……お前の話が聞きたい。
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私の話、ですか。
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ずっと聞けなかったが……聞かせてほしい。 お前は父上が死んだ時、どう思った?
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ランベールが死んだ時、ですか。 まあ、にわかには信じられませんでしたね。
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時間が経てば経つほど、あいつの死が 現実なのだと思い知らされたものです。
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ですが私には「約束」がありましたから。 それを粛々と果たそう、と思いましたよ。
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ならば仮に俺がダスカーで、父上やグレンと 諸共に死んでいたら、お前はどうした?
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………………。
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お前が父上を懐かしむ顔を見る度、 どうしても脳裏を過る考えがあるんだ。
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お前は父上と共に生き、 共に死にたかったのではないか、と。
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……ふふ、考え過ぎですよ、陛下。 私はこう見えて結構強かな人間なのです。
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陛下が亡くなられていたとしても、 死にたいとまでは思わなかったでしょう。
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ただ……あいつとの約束のために死ぬなら、 満足だろうなと思うことはありますね。
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それは、俺が許さない。お前を、 そんな約束のために奪われてたまるか。
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お前を失うのは、俺にとってもう一度 自分の父親を失うようなものだし……
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……もしも自分のせいでお前が死んだら、 俺は、きっと冷静なままではいられない。
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そんなことを仰いながら、陛下こそ ご自分の命を顧みないじゃありませんか。
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臣下は、主君に倣って生きるものです。 陛下がご自分の命を大事にすべきかと。
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……道理だな。返す言葉もない。
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くく……いや、すみません。少しばかり 意地の悪い説教をしてしまいましたな。
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陛下があまりにも、ランベールと 同じようなことを仰るから、つい……
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……ずっとあいつにぶつけたかった言葉を、 息子のあなたにぶつけてしまいました。
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ははは、これではマティアスの奴を 無精者だと笑えませんなあ。
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父上と同じこと……?
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ほら、以前、私が馬鹿をやって 窮地に陥った時の話をしたでしょう?
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あいつは敵陣を突破してきて開口一番、 「自分の命を粗末にするな」と言った。
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全身に傷を作った男にそう言われても、 説得力がないにもほどがあるでしょう?
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……ふふ、確かにそうだ。
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お前たちは本当に、良い友人同士 だったのだな。父上が羨ましいくらいだ。
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はは、そんなことを言ってはうちの倅が 悔しがりますよ。俺は貴様の何だ、ってね。
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……さて、私の話はこれまでにしましょう。 次はマティアスの昔話でもどうです?
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それは楽しそうだな。折角の機会だ、 シルヴァンたちにも声をかけてくるよ。
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それは楽しそうだな。 ぜひとも聞かせてくれ、ロドリグ。