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フレン、聞いたぞ。お前はまた、 騎士団の手伝いに行っていたそうだな。
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傷病者が集められた場所まで行って、 朝から晩まで皆の手当をしていたと……。
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いったい、どういうつもりなんだ。 自分が何をしているか、わかっているのか?
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……すみません、お兄様。でも、わたくし、 騎士団の方々にとても感謝されましたのよ。
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そんなことは、どうでもいい! もっと自分の心配をしてくれ……!
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……かの会戦の時も、傷ついた者たちを 癒やすため、お前は力を使い続けただろう。
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ええ……癒やしても癒やしても、怪我人は 増えるばかりだったものですから……。
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幼いお前の体は悲鳴を上げていたはずだ。 それでもお前は、やめようとはしなかった。
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その結果、お前は……たびたび長い休眠を 強いられる体になってしまった……。
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お前も忘れたわけではないだろう?
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……もちろんですわ。
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また同じような過ちを繰り返せば、 次は二度と目覚められないかもしれん。
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ええ……わたくし、毎夜不安ですのよ。 朝、ちゃんと目覚められるのかしらって。
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ですが、その不安に負けて力を出し惜しめば 傷ついた方々は苦しみから逃れられない。
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そんなの、可哀そうですわ。 それに、もしこの戦争に負ければ……
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フレン……。
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もしそんなことになろうとも、 お前だけは何に代えても私が守る。
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我が妻……お前の母に誓って。
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……ねえ、お父様。 わたくし思うんですの。
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フォドラの皆さんが仲良く暮らすことは そんなにも難しいのでしょうか?
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誰もが仲良く暮らせる世界になれば、 わたくし、それだけで幸せですのに……。
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ああ……そうだな。 私もそう思うよ。
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だが、戦っている者の多くは、 きっとお前と同じことを考えていよう。
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だから、この戦いの先には…… そんな平和な未来が待っているはずだ。
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そのために、私は力を尽くす。 お前に、無理をさせぬためにも。
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お父様……。
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もしもお前を失うようなことがあれば、 私は生きる意味すら失うだろう。
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この先も、親子二人……
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お父様ったら……。わたくしだって、 ずーっと側にはいられませんのよ?
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いつまでも子供じゃありませんもの。 ですが……無茶は控えるとお約束しますわ。
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わたくしが独り立ちするまでは、 ずっとお父様の側にいます。
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お父様をひとりぼっちにしたら、 お母様に叱られそうですものね。
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ああ、ありがとう、フレン……。