link シェズ volume_up
イングリット、良いところに。 “トビアス傭兵団”って知ってる?
link イングリット volume_up
何です、藪から棒に。トビアス…… ……どこかで聞いたような気もしますが。
link シェズ volume_up
あれ、知らないのかしら。ベルラン団長の 話も、あんまり信用ならないものね。
link シェズ volume_up
私が昔いた傭兵団の団長が、まだ子供の頃に 身を置いてた一団らしいんだけど……
link シェズ volume_up
そこの団長は、とある領主に忠誠を尽くし、 領主からも重臣として扱われたっていうの。
link イングリット volume_up
珍しいですね。傭兵と雇用主とは、普通 金銭で結ばれた関係に留まるものですが。
link シェズ volume_up
どうやらその傭兵団は戦いだけじゃなくて、 城下の発展にも尽力したみたいでね。
link シェズ volume_up
例えば、剣や弓を置いて鍬を持ち、 荒れた貧しい土地を必死で開墾したとか……
link シェズ volume_up
財政難に苦しむ貴族のためにと、 街で店を開いて商売を始めたとか。
link イングリット volume_up
最早、傭兵の域を超えているような……。 それとも、傭兵としては普通なのですか?
link シェズ volume_up
まさか。戦いが生業の傭兵に そんな仕事を頼んでくる人はいないわ。
link シェズ volume_up
仕事を頼んだその領主も、受けた傭兵団も どちらも型破りだったってことよ。
link イングリット volume_up
流石にそうですよね。開墾や商売をする 傭兵団なんて、前代未聞だと思います。
link シェズ volume_up
結局、その団長は領主と固い絆で結ばれ、 “片腕”とまで呼ばれるようになったわ。
link シェズ volume_up
つまり「傭兵」とか「領主」とか、 肩書きに縛られる必要はないってこと。
link シェズ volume_up
傭兵だって、雇い主のためにと 武器を置いて農民まがいの仕事をしたのよ。
link シェズ volume_up
領主がどんな仕事をしたって、 私はそこまでおかしいとは思わないけどね。
link イングリット volume_up
……ふふ、なるほど。そうして、 先日の話に繋がるというわけですね。
link イングリット volume_up
ありがとうございます、[HERO_MF]。 自分なりに、考えてみようと思います。
link シェズ volume_up
うん。答えを探すのは大変だろうけど、 私でよければ相談にも乗るわよ。
link シェズ volume_up
ええ。あなたがどんな答えを出すか、 期待して待ってるわね。
link シェズ volume_up
何はともあれ、団長の昔話が イングリットの役に立ったなら良かったわ。
link シェズ volume_up
私もトビアス傭兵団の話を聞いた時は、 そんな話があるのかと思ったもの。
link イングリット volume_up
ええ、本当に……。トビアス、トビアス…… やはりどこかで聞いたような……。
link イングリット volume_up
……そうだ! その領主というのは、 もしや祖母のことではありませんか?
link シェズ volume_up
あなたのお祖母さん? というとたぶん、 先代のガラテア伯……よね?
link イングリット volume_up
はい。よく覚えてはいませんが、 祖母の友人がそんな名前だったような。
link イングリット volume_up
あのご老人が傭兵団長だったなんて、 にわかには信じがたい話ですが。
link シェズ volume_up
もしそうだったなら、やっぱり よっぽど重用されてたんじゃない?
link シェズ volume_up
こんな形で話が繋がるとは、 不思議な縁を感じるわね。
link イングリット volume_up
ふふ……そうですね。