- それで、話って何だ?
ヒューベルト。
- それで、話って何なの?
ヒューベルト。
- 貴殿も気になっていた、貴殿自身の
「怪しい」力の話ですよ。
- その件か。
- その件ね。
- 前にエーデルガルトが言ってたんだ、
正体に近づけるかもしれないって。
- 前にエーデルガルトが言ってたのよ、
正体に近づけるかもしれないって。
- 2年も音沙汰がなかったから……
すっかり忘れられてるもんかと思ってたぞ。
- 2年も音沙汰がなかったから……
すっかり忘れられてるものかと思ってたわ。
- それは申し訳ないことをしました。
こちらも事情がありましてね。
- アランデル公が姿を消した後、彼の残した
情報やら何やらの調査に追われたのです。
- 無論、戦争の準備も手抜かりなく
行わねばなりませんでしたしな。
- アランデル公について思い出す
- 誰のことか思い出せない
- アランデル公……トマシュと同じように
変身し、姿を消した奴か。
- アランデル公……トマシュと同じように
変身し、姿を消した人ね。
- ええ。その後の調査で「タレス」という
別の名を持っていることが判明しました。
- やっぱり俺の力は、あいつらと
同じものなのか?
- やっぱり私の力は、あの人たちと
同じものなの?
- アランデル公……?
- アランデル公……って誰だっけ?
- やれやれ。2年前に宮城で戦った相手です。
トマシュと同じく変身し、姿を消した……。
- その後の調査で「タレス」という別の名を
持っていることが判明しましたがね。
- ああ、あいつか。……やっぱり俺の力は、
あいつらと同じものなのか?
- ああ、あの人ね。……やっぱり私の力は、
あの人たちと同じものなの?
- いったい何の力なんだ? 魔道?
呪いなんかじゃないよな?
- いったい何の力なのよ。魔道?
呪いなんかじゃないわよね?
- そうですな……。
魔道の一種と言ってよいでしょう。
- しかし、我々が普段使う、白魔法や
黒魔法とは別の種類のものです。
- それは……闇の魔道。他の魔法とは異なる
理論によって形作られる邪法。
- ……!
- ……!
- トマシュやクロニエ、タレスなど……
- 我々が“闇に蠢く者”と呼んでいる者どもと
同じ力を、貴殿は有しているわけですな。
- 信じられないと言う
- ヒューベルトの言葉を受け入れる
- ようは、敵の力ってことだよな。
信じられない……いや、信じたくない、か。
- つまり、敵の力ってことよね。
信じられない……いえ、信じたくない、か。
- そうじゃなきゃ、こんなに似てないよな。
そんな気はしてたんだ。
- そうじゃなきゃ、こんなに似てないわよね。
そんな気はしてたの。
- おわかりでしょうが、貴殿がどう思おうと
私の判断は変わりませんよ。
- それで、お前はどうするんだ?
俺の力は危険だから、遠くへやるとか?
- それで、あなたはどうするの?
私の力は危険だから、遠くへやるとか?
- 所詮、雇われの身だからな。
切り捨てられても仕方ない気はするが。
- 所詮、雇われの身だしね。
切り捨てられても仕方ない気はするけど。
- くくくく……とんでもないことです。
遠くへやるくらいなら消しますよ。
- 貴殿は有能ですからな。
しかも、我が主からの信頼も厚い。
- 私の目の届くところで、働いてもらった
ほうが益になると判断したまでです。
- 信頼、されてるのか?
それなら嬉しいが……。
- 信頼、されてるの?
それなら嬉しいけど……。
- 貴殿がどうやってその力を使えるように
なったのか……答えがあればよいのですが。
- 誰がこっそり話しているのかと思ったら、
貴方たちだったのね。
- ええ、もう話は終わりましたがね。
陛下も[HERO_MF]殿に用が?
- そうよ。
似た話のような気もするけれど。
- では、私は先に失礼します。
- ふふ、面白い顔をしているわね。どうせ
ヒューベルトに脅かされていたのでしょう?
- あまり気にすることはないわ。
彼は用心深いのよ。
- それだけなら、俺も気が楽なんだがな。
- それだけなら、私も気が楽なんだけどね。
- 私は、人々が自分の出自に縛られ続ける
この世界を変えたいの。
- どこで生まれ、誰の血を引き、
どんな力を持っていようと……
- すべての人が平等に扱われる世界。そんな
世界が戦いの先に待っていると信じている。
- だから、貴方が何者であるかなんて、
私は気にしない。
- 大切なのは、何を為したか。
これから何を為すか、よ。
- そうか……、そうだよな。
- そうか……、そうよね。