- ………………。
- うおっ、ヒューベルトか。
お前はいつも急に現れるな。
- いかがですか。あれから、“闇に蠢く者”の
接触はありましたかな。
- いや、さっぱりだ。
何かわかったのか?
- そうですな。フリュム領での騒乱、
そして前エーギル公の挙兵により……
- 帝国内の反乱分子や、潜伏していた“闇に
蠢く者”の動きはおおよそ掴めました。
- 貴殿に接触したり、貴殿を仲間として
計算に入れたりするような動きは……
- 今のところはないようです。
残念ながら……。
- まだ疑われていたのかと不満を言う
- 疑われるのも当然と受け入れる
- 今のところはだの、残念ながらだの……
まだ疑ってたのかよ。
- 国の未来とか、平民の抜擢とか、いろいろ
俺にも相談してくれてたし……
- 疑いは、もうすっかり晴れたのかと
思ってたんだがな。
- 国の未来とか、平民の抜擢とか、いろいろ
俺にも相談してくれてたし……
- 疑いは、もうすっかり晴れたのかと
思ってたが……そうもいかないか。
- お前のそういう慎重なところ、皇帝の
従者としちゃ必要不可欠なんだろうな。
- 貴殿には申し訳ないですが、万が一が
あってからでは困りますのでね。
- 必要とあらば、敵とわかっている者を
大いに信頼してみせることもありますし……
- 逆に欠片も疑っていなくとも、疑ってみせる
ことさえあるかと。
- ようは、お前の態度から、
内心を見抜けたりはしないってことか?
- 本当に厄介な奴だな。
お前が味方で良かったよ……。
- ですが、それをこうして正直に伝えたのは、
貴殿を信じてもよいと思ったからです。
- もし貴殿が“闇に蠢く者”どもに連なる
存在だったとしても……それは過去のこと。
- 今の貴殿は、本心から信じて構わないと、
私は思っていますよ。
- 警戒する
- 喜ぶ
- そこまで言われると、逆に身構えちまうが。
絶対に本心じゃないだろ……。
- くく……これは、言い訳をすればするほど
嘘に聞こえてしまいそうですな。
- もう本心かどうかわからないから、
素直に喜んでいいか?
- なるほど、それも一つの方法ですな。
貴殿らしい割り切りかと。
- さて、貴殿の話はそれでいいとして……
問題は貴殿の裏にあるものについて、です。
- 俺の、裏……?
- ええ。表向きの貴殿とは別の貴殿がいる
感覚、とでも言いましょうか。
- いつか貴殿が、豹変してしまわないか……
それだけが私の懸念なのですよ。
- ……!
- もう一人の自分、か?
- だが、もしそんなものがいて、俺の敵に
回ったとしても……俺は負けないさ。
- 必ず打ち克って、
お前の信頼に応えてやるよ。
- そもそもそんな心配はないと思うがな。
- ……いいでしょう。
今は、貴殿の言葉に頷いておきます。
- 貴殿がこの先も、我らと共に道を歩んで
くれることを、期待していますよ。