1. 前にも話しましたが、 私には紋章はありません……。
  2. なぜ、そう頑なに隠すのだ? やはり君が持つ紋章は……
  3. ……! やめてください!
  4. あんた、何をしているんですか?
  5. リ、リシテアさん……。
  6. 紋章が何なんです? その話、 わたしにも聞かせてもらいたいですね。
  7. 紋章学について日々、研究しているので とても興味があります。さあ、どうぞ?
  8. ただし、論拠はしっかり示してくださいね。 妄言を口にするなら……覚悟が必要です。
  9. こう見えても、わたし、 この軍の将の一人なので。
  10. ……結構だ。もう話は済んだのでね。 それでは失礼する。
  11. あ、あの……ありがとうございます、 リシテアさん……。
  12. わたしが勝手に割り込んだだけですから、 気にしないでください。
  13. ………………。
  14. ……あんた、紋章について 何か秘密を抱えているようですね。
  15. ええと、それは……。
  16. 答えなくていいですよ。 誰にだって、言えないことはありますから。
  17. ………………。
  18. わたしにだって……。 だから他人事のようには思えません。
  19. ……え?
  20. もし助けが必要だったら言ってください。 秘密がある者同士、遠慮は要りませんから。
  21. ………………。
  22. あ、別にあんたに同情して 言ってるわけじゃありませんよ。
  23. ただ……あんた、何か秘密を抱えていて、 辛い思いをしたりもしてるんでしょう?
  24. 今まであんたに、ちょっときつく 当たり過ぎたかもって思って……。
  25. そんなこと、ありません、 全然きつくなんて……。
  26. 私は……いつも強くて、しっかりした リシテアさんを羨んでいたんです。
  27. でも、あなたも私のように、誰にも言えない 秘密を抱えていたんですね……。
  28. ど、どんな秘密かは教えてあげませんよ?
  29. はい。……でも、いつか、 私の秘密は聞いてくれますか?
  30. 貴方と一緒にいたら、その勇気が、 出せそうな気がするから……。
  31. いいですよ。聞いて、私が解決できる ことなら、すぐに解決してあげます。
  32. わたし、紋章学には詳しいので。さっきの 学者っぽい男なんか目じゃないですし。
  33. ありがとうございます。 少しだけ、頑張れそうです。
  34. わたしが力になると言っているのに、 少しだけ、ですか?
  35. あ、いえ……たくさん、頑張れそうです!