1. これは、ここにおいてっと……。
  2. やあ、ヒルダ。 また備品を整理してるのか。
  3. そうなのよー。 もう珍しすぎる光景ではないでしょー?
  4. うん、そうだね。 それはそれで僕としては残念なんだけど。
  5. えー、どうして? 働かない仲間が減っちゃったって?
  6. そうなんだよ。
  7. えっ、ほんとに?
  8. いや、そうなんだけど……詳しく 説明するのは面倒だから、いいかな。
  9. よくなーい。 意外すぎて気になっちゃうじゃない。
  10. あたし、知ってるよ? リンハルトくん、 他にできる人がいない時は……
  11. 率先してテキパキ働いてるじゃない。 だから、何でそんな言い方するのかなって。
  12. 正確には、必要な仕事しかしない仲間かな。 ヒルダもそうでしょ?
  13. 自分の仕事を押しつける時も、相手の状況を しっかり見極めた上でやってるんじゃない?
  14. だから、押しつけてるんじゃないってば。
  15. ただ、代わってくれる相手が、 無理をして言い出してるんじゃないか……
  16. って見極めているのは、 あなたの言ってるとおりかもねー。
  17. そうだよね。以前、わかり合えないって 君に言った気がするけど……
  18. それは訂正しよう。 やっぱり君とはわかり合えるよ。
  19. そう? リンハルトくんって、 すぐ調子いいこと言うからなー。
  20. まあそういうわけで、必要な仕事しかしない 仲間の君が、仕事をするのは残念なんだ。
  21. 君が余計に働いたら、僕が一人だけ 怠けているように見えてしまうしね……。
  22. うーん……?
  23. そういうわけで、僕も手伝わせてもらうよ。 さっさと片づけて休憩しよう。
  24. へ? 何で?
  25. 何でって、さっきから言ってるじゃない。 僕だけ働かないのは、僕のためにならない。
  26. どういうことー?
  27. ……流石に話し疲れたんだけど、 説明しなきゃ駄目?
  28. ダメじゃないけど……聞きたいな。 教えてくれない?
  29. 仕方ないなあ……。 それが全員の利益になるからだよ。
  30. 君は僕と仕事を分けられて楽でしょ。 僕は怠けているという中傷を回避できる。
  31. 皆は、僕らが以前より少し働くように なることで、少し楽になる。
  32. だから、これからは二人で一緒に 少しだけ頑張ろう。君に付き合うよ。
  33. えーと、うん。 まあ、楽になるならいいのかな……?
  34. なんだか丸め込まれてる気がして、 釈然としないわー。
  35. まあまあ、ほら、片づけて寝よう。 僕はもう眠いよ……、ふああ……。