1. ふう……。
  2. 陛下、軍議が長引いてお疲れでしょう。 紅茶をどうぞ。
  3. 助かるわ、モニカ。 貴方も一緒に飲まない?
  4. ご一緒していいんですか? はい! 陛下、是非に!
  5. 貴方が休んでいるところを、 あまり見た記憶がないから……。
  6. 程々にするのよ? 頑張り過ぎて、体を壊しては困るわ。
  7. これは、夢ですか……? 陛下があたしの 心配をして、二人きりでお茶を……。
  8. 体の心配くらい、いつもしているわよ。 それにお茶だって初めてではないでしょう?
  9. はい、もちろん。心配は208回目、 二人でのお茶は113回目の出来事です。
  10. はい、もちろん。心配は253回目、 二人でのお茶は139回目の出来事です。
  11. しっかりと記録も記憶もしていますので、 大丈夫ですよ。
  12. 何が大丈夫なのかしら……。 はあ、いろいろな意味で心配だわ。
  13. また心配を……!
  14. でも、それだけ貴方の頑張りに助けられて いるということでもあるものね。
  15. 私は貴方にちゃんと返せているかしら? もし願いがあるなら言ってちょうだい。
  16. ………………!
  17. お願いを、聞いてくれるんですか!?
  18. このモニカ=フォン=オックス、 叶わぬ願いと知りながら、陛下に……
  19. 待って。待ちなさい。 私が聞ける、常識的なお願いで頼むわよ。
  20. はい……。そ、その、大変不敬ながら、 膝枕を所望してもよろしいでしょうか……!
  21. ……ええ、そのくらいならいいわよ。
  22. ありがとうございます。お優しい陛下に、 よりいっそうの忠誠を捧げます……。
  23. もう十分、受け取っているわ。 貰うべきではないほどの忠誠をね。
  24. ……そういえば、陛下にお伝えしたいことが あったんです。
  25. 陛下は、あたしを見捨てようとしたことで、 ずっと自分を責めているみたいですけど……
  26. あたしは、もしあの時に死んだとしても、 本当に嬉しかったはずですよ。
  27. だって、陛下が目的を果たすためのお役に 立てたんですから……。
  28. それじゃ、 あたしはお茶の準備をしてきますね。
  29. ……まったく、困ったわね。
  30. あんなに強い人だったなんて、 まるで知らなかったわ。
  31. ……ありがとう、モニカ。