link シェズ volume_up
よう、ローレンツ。厳しい戦いだったが、 お互い、無事に生還できてよかったな。
link ローレンツ volume_up
ああ……君の助けがなければ、僕は今頃 名誉の戦死を遂げていたところだ。
link ローレンツ volume_up
僕を慕う女性たちを悲しませずに済んだ。 そのことについては礼を言っておこう。
link シェズ volume_up
……何か引っかかる言い方だな。
link ローレンツ volume_up
以前、君に話したことを覚えているな？ このフォドラの、あるべき秩序についてだ。
link シェズ volume_up
ああ、確か……貴族は平民を守り、平民は おとなしく寝てろ、みたいな話だったか。
link ローレンツ volume_up
寝てろ、とは言っていないが…… 貴族には平民を守る責務がある。
link シェズ volume_up
いや、覚えてないな……。 あるべき秩序って何のことだ？
link ローレンツ volume_up
まったく……貴族は平民を守る責務がある という、そういう話をしただろう？
link ローレンツ volume_up
逆に貴族が平民に庇われ、挙げ句、 その平民が命を落としてしまったら……
link ローレンツ volume_up
それはもう貴族失格と言わざるを得ない。 危うく、僕がそうなるところだった。
link シェズ volume_up
そうは言うが、俺が助けなきゃ、 たぶんお前は死んでたぞ？
link ローレンツ volume_up
僕を助けたことで、君は窮地に陥った。 危うく君まで死ぬところだったじゃないか。
link シェズ volume_up
だが、こうして生きてる。
link ローレンツ volume_up
運が良かっただけだ、自覚したまえ。
link ローレンツ volume_up
いいか？　平民が自らの命を投げ打ってまで 貴族を助けようとなど、しなくてよいのだ。
link ローレンツ volume_up
平民の命と引き換えに生き永らえるなど、 僕には耐えがたい屈辱なのだよ。
link ローレンツ volume_up
今回のようなことは、決して、二度と、 しないでくれたまえ。いいね？
link シェズ volume_up
ああ、悪かったよ。 ごめんな。
link ローレンツ volume_up
……！　ま、待て。誤解しないでくれ。 僕は何も、謝ってほしいわけではないのだ。
link ローレンツ volume_up
助けてもらった相手に謝罪を求めるなど、 僕がそんな狭量で身勝手な男に見えるか？
link シェズ volume_up
わかったよ、なら謝ったのは取り消す。 ……面倒な奴だな。
link シェズ volume_up
それが助けてもらった相手に言う言葉か？ 見損なったぞ、ローレンツ。
link ローレンツ volume_up
なっ……待て、違うんだ。感謝はしている。 ただ僕の立場を理解してほしいだけなのだ。
link シェズ volume_up
そんな必死になるなよ。見損なったってのは 取り消すから。……面倒な奴だな。
link ローレンツ volume_up
面倒とは失敬な。 僕にとっては大事なことなのだよ。
link シェズ volume_up
先に言っとくが、次に同じようなことが あったら、俺はまたお前を助けるぞ？
link ローレンツ volume_up
何だと？ 全然わかってくれていないではないか！
link シェズ volume_up
いや、お前の言いたいことはわかるが、 俺にも俺のやり方ってもんがある。
link シェズ volume_up
傭兵上がりとはいえ、目の前で仲間に 死なれたら後味が悪いことこの上ない。
link シェズ volume_up
その仲間が俺より弱い奴なら尚更だ。 助けてやらなきゃ仕方ないだろ？
link ローレンツ volume_up
君より弱い……それはもしかして、 僕のことを言っているのか？
link シェズ volume_up
違うのか？　そもそも庇われたくないなら、 もっと強くなればいいだろ。
link ローレンツ volume_up
……確かに、君の言うとおりだ。 正論すぎて文句を言う気にもなれない。
link ローレンツ volume_up
いいだろう、これからの僕を見ていたまえ。 僕はまだまだ伸びしろのある男なんでね。
link ローレンツ volume_up
君を凌ぐ強さを身につけ、 貴族の僕が、平民の君を助ける……
link ローレンツ volume_up
そしてフォドラの秩序は守られる！ うむ、万事解決だな。はーっはっはっ！
link シェズ volume_up
……悪い奴じゃないんだがな。