- ようやく来たか、ディミトリ。
同盟軍はもうみんな揃ってるぞ?
- 待たせて悪かったな。そちらの用意は?
- 万事、抜かりなしだ。
鎧袖一触で気分良く新年を迎えたいな。
- 何しろ、今駆り出せる最大戦力を
引っ張り出してきたからねー。
- ま、楽しみにしててくれ。
この後はすぐに南へ向け出発か?
- ああ、そのつもりだが……
何か気になることでもあるのか?
- ああ。一節と少し前、ベルグリーズ伯が
東部戦線を離れたらしき報告があった。
- こちらが兵の割り当てを減らした時期と
重なったんで……その意図が気になってな。
- こっちがガルグ=マクを狙うと読んだのか、
王国の侵攻に備えて帝都に戻ったのか……
- 今の帝国軍を差配してる人間が、
どれだけの切れ者かが問題だな。
- ……頭は、切れる印象を受けた。
- そうだな。西部戦線でも、
いろいろ痛い目見させられた。
- そうね。西部戦線でも、
いろいろと痛い目見させられたわ。
- 領地を落としてみたら、拠点にできそうな
村や街が物資ごと焼き払われてたりとかな。
- 領地を落としてみたら、拠点にできそうな
村や街が物資ごと焼き払われてたりとかね。
- なるほどな……だったら、
俺たちの狙いに勘づいてる可能性はある。
- 煉獄の谷伝いに、各勢力の首長が轡を並べて
来るとまでは思ってないかもしれないが。
- にしても、もうちょっとまともな経路を
選ぶべきだったんじゃなーい?
- 暑くてヒルダちゃん、もうバテバテよ。
さっさと抜けちゃいたいんだけど。
- ヒルダ……君は生徒だった頃から
変わっていないようだな。
- セテスさまと……レアさま? もしかして、
レアさま自ら戦場に出るんですか?
- フォドラの命運を懸けた戦いを前にして、
私だけが傍観者でいるわけにはいきません。
- あんたに万一があったら、教団の運営は
立ち行かなくなるんじゃありませんか?
- 自分の身は自分で守れます。
私も、あなた方の力になりたいのです。
- “煉獄の谷”アリルの地形は熟知している。
戦場までは我々が案内を引き受けよう。
- 敵に気取られずに動ければ、大修道院には
労せずしてたどり着けるはず……
- ですが、煉獄の谷は入り組んだ土地。
どこに兵が伏せられているかわかりません。
- どれだけ注意してもし過ぎることはない。
迅速に、だが注意深く進軍すべきだろうな。
- 万一ということもあります。その時には、
手筈どおりセイロス騎士団を使いますが……
- ええ、その時には、
私が彼らの指揮に回ります。
- ガルグ=マクを急襲し、必ずや
暴虐の徒を打ち倒してみせましょう。
- ……レアさま? もしかして、
レアさま自ら戦場に出るんですか?