- 投降すれば、命は助けましょう。
- なに? 私を……
- がはっ……!
- くく……容赦がありませんな。
- 怪しい動き、ありました。
生かす、理由ありません。
- 情報、いずれにしろ、取れない……
あなた、知っています。いませんか?
- さて、死んでしまったので、
断言できかねますな。
- 怪しい動きがあったのは確かですから、
助けられた礼は、言っておきましょう。
- 不要です。あなた、自分でも、
対処できました。でしょう?
- くくく……どうでしょうかね。しかし、
樹上に潜んで背後から狙う戦い方……
- ブリギットらしいといえばらしいですが、
王である貴殿も相変わらずですか。
- もちろんです。安全な場所から、一方的、
急所、攻撃する、必須の技能です。
- なぜ、王、違う、思いますか?
ブリギット、おかしい、言う、ですか?
- いえいえ、とんでもないことです。
- 王が安全な場所に陣取るというのは、
至極真っ当な戦略でしょうよ。
- フォドラの歴史には、騎士道などという
塵のような生き方にこだわった挙げ句……
- 喜んで命を捨てる愚かな王も
大勢いましたからな。
- 騎士道、ですか……。
- ブリギット、騎士、いません。
理解できない、考え、確かです。
- しかし、フォドラ、騎士道、書かれた書物、
多くあります。わたし、読みました。
- なぜ、これほど、無意味な騎士道、
蔓延する、でしょう。不可思議です……。
- ふむ……騎士物語は所詮、物語です。
が、あまりに流行った結果……
- 現実と空想の区別がつかなくなったのかも
しれませんな。
- そのくらいには、平和を謳歌できる戦乱の
ない時代がフォドラにあったのでしょう。
- なるほど……平和、望ましいもの、
しかし、人、弱くする、それも、真理です。
- ブリギット、平和、目指しています。
弱くなる、困りますが……
- 騎士道、ブリギットにも、広まる、
あるかもしれません。
- くくく……確かに争いのない時代がくれば、
騎士道が役に立つ場面もあるでしょう。
- 荒くれた戦士たちを統制するのには、
適した考えですからな。
- ですが、百害あって一利程度では、
割に合わないのは間違いありませんよ。
- 心配、感謝します。
まずは、平和な時代、来る、先です。
- ええ、我らの勝利でもって、
この愚者の時代を終わらせましょう。