1. ……約束のもんです。
  2. おう……っと、なんだ、随分少ねえな。 売上が振るわなかったのか?
  3. ええ、最近は戦い続きで お偉方の目も厳しいですから……。
  4. ……なるほどな、そいつは仕方ねえ。 同業の連中も黙ってねえだろうしな。
  5. まあ、策は講じておくよ。ちょっと危ない 橋を渡ることにはなるが、何とかなるだろ。
  6. はあ、はあ……確か、こっちに…… ……あれ、ユーリス?
  7. なんだ、アッシュか。 そんなに慌てて、どうしたんだよ。
  8. さっき、怪しい人がここに来なかった? 追いかけてたんだけど、見失っちゃって。
  9. 怪しい奴? ああ、俺の部下のことか。
  10. 部下って…… じゃあ、その手に持ってるのは?
  11. 売上金。 何の、とは言わねえけど。
  12. 特に、一丁前に王家の騎士なんて やってるお前には、口が裂けてもな。
  13. 君がそういう言い方をするってことは、 たぶん、良くないお金なんだよね。
  14. おい、良くないお金って何だよ。 金は金だ。良いも悪いもねえだろ。
  15. ……あのさ、ずっと言おうと思ってたけど、 そんな方法でお金を稼ぐのは駄目だと思う。
  16. 君は、僕よりずっと頭も回るし、 何だってできるじゃないか。
  17. 誰かを騙したり、傷つけたりしなくても、 十分生きていけるはずだ。
  18. おいおい、賊の頭を相手に説教を 垂れようってのか? 馬鹿馬鹿しい。
  19. 綺麗事じゃあ、誰も生きていけねえんだよ。 お前が一番よく知ってるんじゃねえのか。
  20. 家族を食わせる為には、どんな汚え真似も しなきゃならねえ時がある。……そうだろ?
  21. ……まさか、僕の過去を知ってるの? 話したことはないよね。どうして君が……。
  22. さあ? ローベ伯から……はたまた、 ロナート卿から聞いた話かもしれねえな。
  23. 一度やっちまった悪事ってのは、 死ぬまで自分について回るもんだぜ。
  24. ……わかってるよ。 たとえそうだとしても、僕は……
  25. あー、で、もう行っていいよな? 悪いが、俺様にも色々仕事があるんでね。
  26. ユーリス……。
  27. ……やっぱり、 それでも僕は、君を放っておけないよ。