1. アネット。今、時間はありまして? 実験に付き合っていただけるかしら。
  2. 実験? うん、大丈夫だよ! ちょうど時間が空いたところだったの。
  3. それは何よりですわね。今日は、 戸外での実験をしたいのですけれど……
  4. 戸外? ……となるともしかして、 性格が……変わっちゃう感じ?
  5. ええ。まことに不本意ではありますけれど、 背に腹は代えられませんのよ……。
  6. 大丈夫。どっちのコンスタンツェも 頼りになるし、あたしは全然気にしないよ!
  7. よしっ。それじゃあ善は急げって言うし、 早速実験の場所に行こっか!
  8. そ、そう引っ張らないでくださる? まだ何の実験かも言っていませんのに!
  9. ……アネット様。 本当に実験を行われると仰いますか。
  10. 私の稚拙な考えに基づく魔法など、 実現するはずもありませんが……。
  11. 心配しなくたって大丈夫だよ! さ、早く始めちゃおう!
  12. ……アネット様のご所望とあらば、 不肖ながら実験を始めさせていただきます。
  13. あっ、ところで……何の実験だっけ? あたしったら、何も聞かないで来ちゃった。
  14. 周囲の猫を集めるという、何の役にも 立たない魔法でございます。
  15. わあ! 可愛くて素敵な魔法! 早くやってみようよ、コンスタンツェ!
  16. うーん。魔法はちゃんと発動したけど、 何も起こってないみたい……。
  17. やはり失敗のようですわね。 所詮、私の研究などこの程度のもの……。
  18. あるいは主の啓示なのでしょう。 私に魔法など分不相応なものだという……。
  19. 落ち込んでても仕方ないよ。落ち着いて、 どうすれば上手くいくのか考えてみよう!
  20. そうだ。素材にしたこの花、もしかして 直接、匂いを風の魔法で拡散すれば……
  21. ……小さな虫が集まってきましたわね。 私の矮小さに比べれば、この虫のほうが……
  22. ぎゃーっ、ごめんごめん! 失敗! うーん……なら、こっちの鉱石を……
  23. おや、反射した光につられて、 今度は鳥が集まってきたようでございます。
  24. あわわ……た、大変! 襲ってきた! コンスタンツェ、いったん逃げよう!
  25. はあ……。少し実験して帰るつもりが、 とんでもない目に遭いましたわ……。
  26. ごめんね。余計なことばっかりして……。 ……ところで、1つ気づいたことがあるの。
  27. 虫や鳥が集まってきた時、いくら何でも 数が多かったと思わない?
  28. 確かに……虫も鳥も、不自然なほどに 1種類だけが大量に寄ってきましたわ。
  29. もしやあの魔法には、特定の種類の生き物を 群れさせる効果がある、と!?
  30. そのおかげで、花に引き寄せられた虫が あんなにいっぱいになったし……
  31. 鉱石の光につられて集まった鳥が、 凄い群れになっちゃったってこと?
  32. これは大発見の可能性がありますわ! 前人未踏の境地が今、目の前に……!
  33. じゃあ、最初の計画とは違ったけど、 実験は大成功だったのかも?
  34. アネット、休んではいられませんわ! 早速、原因を究明しますわよ!
  35. うん! コンスタンツェとなら、 何だかすっごいことができそうだよ!