1. 大司教殿、急なお願いを聞いてくださり、 感謝します。
  2. 良いのです、エーデルガルト。
  3. しばらく帝都に戻りたいということですが、 いったいどのような事情なのですか。
  4. 実は……、トマシュの仲間と思しき者が、 帝国にも入り込んでいます。
  5. ……!
  6. トマシュ殿はこのガルグ=マクに40年来 書庫番として勤めていたそうですが……
  7. 突如として豹変すると、怪しげな魔道を 用い、姿さえ変わったと聞きました。
  8. それと合致するような者が帝都に、 しかも我々の身近にいるのです。
  9. ふむ……それは、いったい誰なのだ?
  10. フォルクハルト=フォン=アランデル。 帝国の摂政の地位にある、私の伯父です。
  11. アランデル公は一時、王国に亡命し、 数年後、再び帝国に舞い戻ってきました。
  12. その時から、アランデル公は別人のように なり……帝国を牛耳り出したのです。
  13. 隠れて怪しげな魔道を使い、姿形を 変えたという報告も受けています。
  14. それは由々しき事態だろうな。 ……報告が真実であれば、だが。
  15. その点については、我がベストラ家の 情報を信じていただくしかありません。
  16. そうか……。それで、君たちだけで帝都に 戻って、どうにかできる問題なのかね?
  17. アランデル公は、宰相エーギル公を始め 多くの有力貴族を味方につけています。
  18. ですが、条件付きではあるものの、こちらに 協力を約束してくれている者もいるのです。
  19. 彼らを動かすため、その子女である何人かの 級友とイエリッツァ殿を連れていきます。
  20. 加えて、帝国軍の動きを抑えるために セイロス騎士団の力をお借りしたく……。
  21. 騎士団を帝国に……帝都に入れるのかね?
  22. ええ。そうでもしなければ、 信じてはもらえぬでしょう。
  23. それに、帝都での大規模な騒乱を防ぐため、 騎士団には抑止力となってほしいのです。
  24. なるほど……いよいよもってこれは、 信じざるを得なくなってきたか。
  25. ええ。そして…… しっかりと練られた計画のようですね。
  26. 私たちは自身の戦力だけで宮城を制圧、 すべてを城内で終わらせる予定です。
  27. どうか……力を貸していただきたい。
  28. 二つ、条件があります。
  29. アランデル公を捕縛した暁には、 騎士団に引き渡すこと。
  30. そして、可能な限り騎士団が戦闘行為を 行わないよう配慮すること。
  31. 問題ありません。 いずれの条件も、こちらの望むところです。
  32. もしアランデル公の情報が嘘と判明すれば、 我々も相応の対処をせねばならない。
  33. そのことについては、 ゆめゆめ忘れないでくれたまえ。
  34. 無論です。我々が教団を謀る利など、 何もありませんので。
  35. では、騎士団の者を呼びます。 詳細はそちらと詰めてください。
  36. あなた方に、主のご加護があらんことを。