1. まったく……あの老いぼれめ。 先走って兵を動かすなど、愚かに過ぎる。
  2. 大人しくしていれば、帝国軍の本隊と 合流して有利に軍を進められたものを……!
  3. それだけ、王国が中央教会を受け入れるのを 認められなかったのでしょうな。
  4. ロナート殿は、ご子息を教団に処刑され、 恨みを募らせておられましたゆえ。
  5. その割に、養子の一人は王家の騎士として 推挙したなどと言うじゃないか。
  6. かつてはイーハ大公の従者を 務めていたこともあるというし……
  7. 奴が何を考えているのか、 私にはさっぱりわからん。
  8. おや、わしにはよくわかりますがなあ。 まず、中央教会と大司教への不信があり……
  9. 王がそれを受け入れるならば、身をもって 諫めねばならぬ、というところでしょう。
  10. はあ……それに振り回される こちらの身にもなってみろというものだ。
  11. 我が領土を皇帝が守ってくれるというから、 わざわざ王国を裏切ったのに……
  12. 怒れるファーガス王の槍に、 領土ごと焼き滅ぼされては本末転倒よ。
  13. ははは、そうですなあ。 我らも覚悟を固めねばなりますまい。
  14. ……仮にロナートたちが負ければ、そのまま アリアンロッドが攻められることだろう。
  15. その時はこの城を手土産に王国に帰参する。 ロナートが勝てば約束どおり帝国に寝返る。
  16. 両国共が欲しがっているこの城があれば、 どちらに転ぶも容易かろう。
  17. おや、よいのですかな。その振る舞いは、 閣下の最も厭うところでは?
  18. フン、その白々しいところは変わらんな。 お前が言ったのだ、グェンダル。
  19. 「死力を尽くして戦った」のであれば、 降伏しようと謗られることはないと……。