1. ……先ほど、ゴーティエ辺境伯からの 使者が着いた。王都で変事あり、だそうだ。
  2. そんな……。陛下はご無事なの? 変事というのはいったい……。
  3. どうやらコルネリアが西部諸侯の 兵を率いて、王都に現れたらしい。
  4. 西部は厳しく監視してたんだがなあ…… 今回ばかりは、相手が一枚上手だった。
  5. 俺たちや陛下に動きを掴まれないように、 徹底的に兵を偽装させてたって聞いたぜ。
  6. 得体の知れん兵器まで持ち込んだそうでな。 城下の民を人質に取ったと聞いている。
  7. それで、あの阿呆は自ら虜囚となった…… ドゥドゥーや親父殿についてはわからん。
  8. じゃあ、父さんたちは……? イヴァン公と一緒にいるんじゃ……。
  9. ギュスタヴ殿が討たれたとは聞いていないが 少なくとも公爵は無事ではあるまい。
  10. 仲間の身を案じる
  11. 王都の人々を案じる
  12. ドゥドゥーたちがどうなったのか心配だな。 まだ無事でいてくれるといいが……。
  13. ドゥドゥーたちがどうなったのか心配ね。 まだ無事でいてくれるといいけど……。
  14. 奴らならば首尾よく落ち延びる…… ような真似は、まあしないだろうな……。
  15. 得体の知れない兵器って……。 王都の人たちは、大丈夫なのか?
  16. 得体の知れない兵器って……。 王都の人たちは大丈夫なの?
  17. 恐らくはまだ無事だろう。 ……推測というか、もはや直感だがな。
  18. もし民に手を出していれば、あの猪は 自分で拘束を解いて暴れているだろうよ。
  19. フェリクス、北へ急ごう。 今、あいつらを失うわけにはいかない。
  20. フェリクス、北へ急ぎましょ。 今、彼らを失うわけにはいかないわ。
  21. わかっている。 ……このまま王都に向かうぞ!
  22. 目の前の民を救うために捕らわれた、か。 これが自己犠牲の精神というものかな。
  23. いつぞやの君の見立てどおり、 彼は民想いの優しい王になったようだ。
  24. けど、ここであいつが死んじまったら ますます犠牲が増えることになるだろ?
  25. けど、ここで彼が死んじゃったら ますます犠牲が増えることになるわよ?
  26. 仮に、彼が自国の民を見捨てて 生き延びたとしても、犠牲は減らないよ。
  27. 民を守るために戦争を受けて立ったのに、 民を守らなかった王と謗られることになる。
  28. そうして民や諸侯の支持を失えば、 国内はますます泥沼の状態になるだろう。
  29. それは、そうかもしれないが。 ……死んじまったらおしまいだろ。
  30. それは、そうかもしれないけど。 ……死んじゃったらおしまいでしょ。
  31. 難しい立場だね、君主というのも。 あらゆる選択の尺度が、傭兵とは異なる。
  32. 傭兵は身軽だからな。 守るのは自分や、仲間たちだけでいいし。
  33. 傭兵は身軽だからね。 守るのは自分や、仲間たちだけでいいし。
  34. 何かあったら、最悪着の身着のまま 逃げればよかったんだしな。
  35. 何かあったら、最悪着の身着のまま 逃げればよかったしね。
  36. 傭兵にも、傭兵なりの苦悩はあっただろう。 どちらがより大変というわけでもない。
  37. ただ、君のような人間には、 きっと貴族なんて向いていないのだろうね。
  38. まったく、お前はすぐに 憎まれ口を叩くよなあ……。
  39. まったく、あなたはすぐに 憎まれ口を叩くわよね……。