- ギュスタヴ、アネット、頼む。
作戦の成功はお前たちに懸かっている。
- 任せてください、陛下!
伯父さんは……絶対説得してみせます!
- ギュスタヴ、よろしく頼む。
作戦の成功はお前に懸かっている。
- は、承知しました。
必ずや、兄上を説得してみせます。
- ……いいのか、ディミトリ? これは
肉親の前でするべき話ではないだろうが……
- 諸侯が再び男爵を担ぎ上げる可能性もある。
討っておいたほうが、後の憂いを絶てるぞ。
- ……確かに、それが一番手っ取り早い。
だが後を考えるなら、説得するのが上策だ。
- 男爵には紋章持ちの嫡男がおられる。
たとえここで男爵を討ったとしても……
- 何かがあれば、今度は彼を担ぎ出して
旗頭に据えるだけでしょう。
- ああ。だからこそ、ドミニク男爵を説得し
こちらの味方につけてしまいたいんだ。
- まずは他の西部諸侯の戦力を削いで、
男爵への接触を図ろう。
- ディミトリ、そろそろ出よう。
- ディミトリ、そろそろ出よう。
- ああ、そうだな。
- ……こちらの兵数は決して多くない。
アリアンロッドに兵を残しているからな。
- 少しばかり苦戦を強いられるとは思うが……
負けられない戦いだ。皆の力を頼りたい。
- はっ、数節前までのディミトリに
聞かせてやりたい言葉だな。
- ふふっ、数節前までのディミトリに
聞かせてあげたい言葉ね。
- 今のディミトリのほうがいい。
何というか……随分、力が抜けて見える。
- 今のディミトリのほうがいいわ。
何というか……随分、力が抜けて見える。
- ……はは、力が抜けた、か。
そうかもしれないな。
- すっかり仲間たちと絆を深めたね。
彼らと過ごす時間はとても充実している。
- 僕にとっても喜ばしいが……君が、本来の
目的を忘れていないといいのだけれど。
- ……“灰色の悪魔”か。
- ……“灰色の悪魔”ね。
- 成長とは己を育て、高めていくことを指す。
そこには強い目的意識が必要不可欠だ。
- ……初めて君と出会った時、
僕は君の負けん気に強い魅力を感じた。
- その意志の強さこそが、
君を大きく成長させると確信したからだ。
- 君が目的を見失うことは、君の成長を望む
僕にとって望ましくない事態なんだよ。
- ……なあ、ラルヴァ。
- ……ねえ、ラルヴァ。
- どうしたんだい?
- お前って、“灰色の悪魔”に
やけにこだわってないか?
- あなたって、“灰色の悪魔”に
やけにこだわってない?
- そうかな?
自覚はないと、思うんだけれど……?
- 目的なら……例えばディミトリたちのために
戦うとか、そういうのでもいいはずだろ?
- 目的なら……例えばディミトリたちのために
戦うとか、そういうのでもいいはずでしょ?
- 今の俺にとっては“灰色の悪魔”を
倒すのと同じくらい大事な目的だ。
- 今の私にとっては“灰色の悪魔”を
倒すのと同じくらい大事な目的よ。
- ………………。
- ラルヴァ?
- ラルヴァ?
- それが君と僕の、運命だと、
感じているのかもしれない……。