- ……その話が本当ならば、恐らくその地には
いまだ聖遺物が眠っているのだろう。
- その聖遺物は、奇しくも帝国の初代皇帝が
フォドラ統一に乗り出した際に用いたもの。
- それを私たちが取り戻せたならば、必ずや
帝国の侵略を阻む助けとなるでしょう。
- しかし、かの地は今や凶悪な賊徒たちの
巣窟となっているのだろう?
- セイロス騎士団の戦力を割く余裕もない今、
どうやって取り戻そうというのだ。
- 流石に私だけでは……
- ま、お兄様だけではなくってよ?
わたくしもお供いたしますわ。
- 待て、フレン。お前を危険な場所に
連れていくわけにはいかない。
- すでに戦場にも出ておりますでしょう。
今更なお話ではありませんこと?
- いや、しかしだな……
- あなた方だけに押しつける気はありません。
今回は私も行くつもりです。
- レア……? 何を言い出すのだ。
- すでに、ツィリルに言いつけて出立の準備を
調えさせています。
- ……私にこの話をする前から、
自分で行くと決めていたのか。
- ええ。長らく戦場を離れていたとはいえ、
賊徒風情に後れを取る私ではありません。
- それはそうだろう。君の本当の強さを、
私は誰よりも知っているからな。
- しかし地の利はむしろ敵側にある。
万一ということがないわけじゃない。
- もし今、大司教を失えば教団はどうなる?
完全に瓦解することになるのだぞ?
- 聖遺物がどうしても必要だと言うなら
私が取りに行く。だから君は……
- 教会はすでに瓦解しかけているのです。
それを救うのは私の使命……
- レアさま……あの、いいでしょうか。
- ツィリル、構いませんよ。
あら、あなたは……。
- [HERO_MF]……
君が、どうしてここに?
- セテスさん、悪いな。アンタが快く思わない
ことはわかってたんだが……
- セテスさん、ごめん。あなたが快く思わない
ことはわかってたんだけど……
- ツィリルにどうしてもと頼み込まれてな。
賊の巣窟に行くんだろ?
- ツィリルにどうしてもと頼み込まれたの。
賊の巣窟に行くんでしょ?
- 俺は傭兵として何度もそういう相手と
戦ってきた。役に立てるぞ。
- 私は傭兵として何度もそういう相手と
戦ってきたの。役に立てるわ。
- レアさまが危険な場所に行くというのに、
護衛がボクだけというのは不安で……
- 一緒に来てくれたら心強いなと思って、
お願いしたんです。ダメでしょうか。
- 俺が信用できないと言うなら、
すぐに消えるが……どうする?
- 私が信用できないと言うなら、
すぐに消えるけど……どうするかしら?
- いえ、助かります。あなたの評判は
ディミトリ王からも聞いていますよ。
- 私兵団の長として、王国軍の中でも信頼を
得ているとか。そうでしたね、セテス?
- 確かに私もそう聞いてはいるが……
- では決まりですね。
もちろん報酬は支払わせていただきます。
- 遠慮する
- 受ける
- いや、遠慮しておくさ。
今の教団の懐事情は何となく知ってるしな。
- いえ、遠慮しておくわよ。
今の教団の懐事情は何となく知ってるしね。
- 傭兵とはいえ、今は王国軍の専属だ。
任務の一環として付き合わせてもらう。
- 傭兵とはいえ、今は王国軍の専属だし。
任務の一環として付き合わせてもらうわ。
- ああ、払える範囲で構わないが。
今の教団の懐事情は何となく知ってるしな。
- ええ、払える範囲で構わないけど。
今の教団の懐事情は何となく知ってるしね。
- 気になるなら、貸し一つとでも思ってくれ。
その程度の仕事だ。
- 気になるなら、貸し一つとでも思って。
その程度の仕事よ。
- そうか……すまない。正直、助かるよ。
- ただ、あまり長くは付き合えないぞ。
王国軍のほうも今はバタバタしてるからな。
- ただ、あまり長くは付き合えないわよ。
王国軍のほうも今はバタバタしてるから。
- 行く先は、聖インデッハに所縁ある地。
ここからそう遠くない山里です。
- 聖教会にとっても、
かつて聖地だった場所の一つ。
- 今は忘れ去られてしまいましたが……
この機に穢れた賊徒から解放しましょう。
- はい、レア様! ではすぐに……
- 待て、フレン。私が先行して敵の様子を
探っておく。お前は皆と共に後から来い。
- [HERO_MF]、君だけは私と一緒に
来てくれるとありがたいのだが。
- ん? ああ、構わないが……
- え? うん、構わないけど……
- よし、では行こう。
ツィリル、大司教とフレンを頼むぞ。
- は、はい、セテスさん。
- ……セテスはフレンのことが
よほど心配なようですね。
- 相変わらず、ああですのよ。