- ………………。
- エーデルガルト様?
- 邪魔をしてしまったかしら、ペトラ。
- いいえ、大丈夫です。
もう、終わる、しました。
- 精霊、祈る、祈っています。
次の戦い、無事、勝つ、祈願、です。
- ブリギットでも、こうやって祈るの?
礼拝堂が必要なフォドラとは、違うわね。
- はい。ブリギット……森、山、空、
精霊の宿るすべて、向かい、祈ります。
- 祈るもの、違う、しかし、互い、命、
懸けて戦う、そこ、フォドラと同じです。
- 命を懸けて戦う……ね。こんなこと、私が
言うべきではないのかもしれないけれど。
- 貴方は、このフォドラでの戦いに
命を懸けてはいけないのではないかしら?
- ブリギットの王として、何としても国に
戻る必要があるでしょう、貴方は。
- はい、それ、確かです。
異境の地、死ぬこと、許されません。
- エーデルガルト様、ブリギットの、帝国への
従属、解消する、約束する、しました。
- しかし……わたし、死ぬ、約束、
果たす者、いなくなる、なります。
- ええ、そうよ。
- 貴方が死ねば、ブリギットとの関係は、
次の王位継承者との交流からやり直し。
- 貴方くらい優秀で、話が通じる相手なら
いいけれど……期待できるかしら?
- それに、個人的にも……仲間である貴方に
死んでほしくはないの。
- 気遣い、感謝します。
あなたの気持ち、嬉しく、思います。
- 嬉しいですが、わたし、命、懸けたい、
そう、思っています。
- これから先、追い詰められた敵が
どんな手段に出てくるかわからない。
- 貴方の望まぬ結果になったとしても、
戦い続けると?
- 危険、承知です。
しかし、決意、すでに、しました。
- エーデルガルト様、命、懸けている……
わたしだけ、逃げる、嫌ですから。
- 私が命を懸けているから?
自分の起こした戦争だもの、当然でしょう。
- わたしも、あなたと共に、戦うこと、
選びました。当然です。
- 万一、わたしたち、敗北する、あっても、
わたし、後悔しません。
- あなたと共に、最後まで、戦い続ける、
続けます。わたしの、祈りです。
- 負け戦をさせるつもりはないけれど……
わかったわ。
- その覚悟、受け止めましょう。
貴方の意志の強さには、参るわね。
- あなた、皇帝で、わたし、王です。
- わたしたちの中、仲間、他に、
並び立てる者、いません。
- あなたと、対等、なる……できる存在、
わたしだけ。故、並び立ち、続けます。
- ……ありがとう、ペトラ。
ブリギットの王に、感謝と、敬服を。
- ……でも、それなら、そろそろ「様」呼びは
控えてくれてもいいんじゃないかしら。
- はい……しかし、好みます。わたし、「様」
つける、唯一、あなたのみ、ですから。