link ロドリグ volume_up
……おや、戻られたのですね。 フラルダリウス領へ赴いたと聞きましたが。
link イングリット volume_up
はい。少しばかり所用がありまして、 久しぶりに領都へ行ってきました。
link ロドリグ volume_up
久々のフラルダリウス領は、 どうでしたかな。
link イングリット volume_up
とても懐かしかったです。私にとっては、 第二の故郷のようなものなので……
link イングリット volume_up
寄り道をしている暇はないと思いつつも、 ついあちこち立ち寄ってしまいました。
link ロドリグ volume_up
ふむ……。あなたの目には、どのように 映りましたかな。今のフラルダリウス領は。
link イングリット volume_up
私の目、ですか? ……そうですね。 領都こそ落ち着いていたのですが……
link イングリット volume_up
慢性的な食糧不足のせいか、周囲の村落は 危うい均衡を保っているように見えました。
link イングリット volume_up
ガラテア領でも、かつての飢饉の際には 食糧を巡って争いが起こりましたし……。
link ロドリグ volume_up
ならばやはり難民に開墾を…… ……いや、私の出る幕ではありませんね。
link ロドリグ volume_up
ありがとうございます、イングリット殿。 後程フェリクスに伝えておきましょう。
link イングリット volume_up
お願いします。……あっ、けれど、決して 悪い変化ばかりではありませんでしたよ。
link イングリット volume_up
街には昔なかったお店が増えていたり、 あちこちの街道が整備されていたり。
link イングリット volume_up
しばらく訪れていませんでしたから、 景色の変わりように驚いてしまいました。
link ロドリグ volume_up
確かに、グレンの生きていた頃は 年に何度かいらしていましたからね。
link イングリット volume_up
……はい。
link イングリット volume_up
ともすれば、こういった機会がなければ、 訪れることもなかったのかもしれません。
link イングリット volume_up
けれど…… もう一度、訪れることができて良かった。
link イングリット volume_up
ロドリグ殿。戦争が一段落したら、また 昔のように遊びに行っても構いませんか?
link ロドリグ volume_up
もちろん構いませんとも。 いつでもお待ちしていますよ。
link ロドリグ volume_up
ははは、私だけと言わずフェリクスも、 私の妻や弟たちも、皆で歓迎しましょう。
link ロドリグ volume_up
うちの倅の相手をしてくださった あなたに、頭が上がる者はいないのです。
link イングリット volume_up
い、いえ! むしろ相手をして もらっていたのは私のほうで……
link イングリット volume_up
兄とは年も離れていましたし、一緒に 遊んでくれる数少ない存在だったというか。
link イングリット volume_up
今になって思えば、私はいつもグレンを 振り回してばかりだった気がします。
link ロドリグ volume_up
あなたにとって、そんな思い出が 何かの糧になってくれていたなら……
link ロドリグ volume_up
きっと、グレンの奴も喜ぶでしょうよ。
link イングリット volume_up
……私にとって、あの頃のことは 今も昔も、何にも代えがたい経験です。
link イングリット volume_up
これまでも、きっとこれからも あの時間は私の中で生き続けていく。
link ロドリグ volume_up
……流石はガラテア伯のご息女。 お強い方です、イングリット殿は。
link イングリット volume_up
ありがとうございます、ロドリグ殿。 これからも精進していこうと思います。
link ロドリグ volume_up
あまり、頑張り過ぎてはいけませんよ。 人は、少しくらい弱くたっていいのです。
link ロドリグ volume_up
おっと……戻ったばかりだというのに、 つい長話に付き合わせてしまいましたな。
link イングリット volume_up
いえ、とんでもない。むしろ、いつも 気を遣っていただいて感謝しています。
link ロドリグ volume_up
そう恐縮しないでくださいよ。あなたは 私にとって、娘のようなものなのですから。