link シルヴァン volume_up
……じゃあ、その話は俺が片づけよう。 君は父上に手紙を届けておいてくれ。
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はっ、承知いたしました。
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おっと、ドゥドゥー。 どうした、何か用か?
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……いや。通りかかっただけだ。
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そうなのか? それにしちゃあ、 何か言いたそうな顔をしてるみたいだが。
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……お前の様子を見て、感心していた。
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感心? 何でまた。
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士官学校にいた頃は、 お前の悪い話をよく耳にした。
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女遊びにかまけ、訓練も怠りがち…… 陛下もよく頭を痛めておられた。
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……申し開きのしようもございません。
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いやいや、でも今はこのとおり、 ちゃーんと真面目に働いてるだろ?
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当たり前のことだ。
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はい……。
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……だが、お前が心を変えた 理由に興味が湧いた。
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心を変えるだなんて、そんな大げさな。 もっと単純明快な理由だよ。
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ほら、今じゃ陛下もフェリクスの奴も、 立派に自分の仕事をこなしてるんだ。
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弟分が頑張ってるってのに、俺だけ仕事を 放り出して遊んでるわけにはいかないだろ。
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……弟分。
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そうそう。今のあいつらには、あんまり 格好悪いところを見せたくないんだ。
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……そうか。
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おれにも、妹がいた。 お前の気持ちは、理解できる。
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妹が「いた」……ね。
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なあ、もし良かったら聞かせてくれよ。 お前の妹さんがどんな子だったのかをさ。
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……そうだな。花が、好きだった。 よく冠を作ってやった。
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それから……一度これと決めたら 最後まで貫く、頑固なところがあったな。
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なるほどな。さぞかし可憐で、 しっかり者のお嬢さんだったんだろう。
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……いくらお前でも、 死んだ女は口説けんぞ。
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口説くも何も、 俺は素直な感想を言っただけだぜ。
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けど、もし生きていたら、今の俺でも 口説くことを諦められなかったかもな。
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で、妹想いの優しくも怖ーい兄貴に ぶっ飛ばされていたところだろうさ。
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ふ……そうかもしれん。
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シルヴァン。この戦いが終わったら、 ダスカーの地を訪れてみるといい。
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粗末ではあるが……墓がある。 機会があれば、案内しよう。
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そりゃあいい。その時には とびきり大きな花束を用意していくよ。
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……ああ。 きっと、妹も喜ぶだろう。