1. フェルディアに戻る……? 折角ここまで来たのにか?
  2. フェルディアに戻る……? 折角ここまで来たのに?
  3. 戻ると言っても、少しの間……そうだな、 1節ほど、俺がここを空けるというだけだ。
  4. あなたが王都に戻らなきゃいけないなんて、 いったい何があったのかしら~?
  5. もしかしてフェルディアで、 何か大事件でも起こったんですか……?
  6. 王都には父さんたちもいますし、 滅多なことはないと思いますけど。
  7. きちんと説明してやれ、猪。あれの脅威は、 北方に暮らす連中にしかわからん。
  8. ……スレン族の一団がゴーティエ領を突破し 王都フェルディアに迫っているそうだ。
  9. 王都のイヴァン公が迎撃に出て、 捕縛されたという報告も入ったが……
  10. ゴーティエ辺境伯との定期連絡も途絶し、 報告の真偽を確かめることもままならない。
  11. だ、大丈夫なんですか、それ……!? 大事件じゃありませんか……!
  12. そりゃあもう大事件だぜ、アッシュ。 王都が略奪されたら戦争どころじゃない。
  13. まあ、あの父上がそう簡単にやられるなんて にわかには信じられませんけど……
  14. 連絡が途絶えたのは事実だ。 何かが起きてるのは間違いないでしょうね。
  15. それは……由々しき事態だな。王領内には 教団の根拠地たるカムロスがある上……
  16. 王都フェルディアには、 教団の者も少なからず出入りしている。
  17. スレン族って、ファーガスの 北の半島に住んでいる人たちよね?
  18. うん……あたしたちが物心ついた頃には、 すっかり落ち着いてた気がするけど……。
  19. そんな殊勝な連中じゃない。今でも、隙を 見せれば食いついてくるような相手だぜ。
  20. ファーガスと境を接するスレンの北西部は、 一年を通して雪に覆われた土地だ。
  21. 彼らも生き延びるため、豊かな土地を 求めなければならないのだろう。
  22. その手段が問答無用の略奪でなければ、 交渉の余地もあろうものだがな。
  23. ……そういうわけで、俺は北に戻って 討伐軍の指揮を執らねばならない。
  24. 辺境伯もイヴァン公も安否不明となれば、 陛下が直接指揮を執るほかありませんしね。
  25. だったら、俺たちも一緒に行ったほうが いいんじゃないか?
  26. だったら、私たちも一緒に行ったほうが いいんじゃない?
  27. 危険な戦いに飛び込むなら、 腕の立つ護衛が必要だろ?
  28. 危険な戦いに飛び込むなら、 腕の立つ護衛が必要でしょ?
  29. そうですわよ、ディミトリさん。
  30. わたくしたちにとっても、 決して他人事ではないのですから。
  31. ありがたい、と言いたいところだが…… ここにも戦力を残しておく必要がある。
  32. [HERO_MF]、お前は今やこの軍の 要の一人だ。……アリアンロッドを頼む。
  33. 帝国軍に痛打を与えたとはいえ、いつ 反撃されるかもわかりませんからね……。
  34. ドゥドゥー、ロドリグ、供を頼む。 あとは数十騎ほどを連れていきたい。
  35. は、かしこまりました。
  36. 単に辺境伯の使者の到着が、何らかの事情で 遅れているだけ、という可能性もある。
  37. シルヴァン、お前は念のため アリアンロッドに残って使者を待て。
  38. わかりました。 ……陛下、どうかご無事で。
  39. それからフラルダリウス公。俺がここを 空けるとなれば、王国軍の指揮官はお前だ。
  40. フラルダリウス公。俺がここを 空けるとなれば、王国軍の指揮官はお前だ。
  41. 万一、使者が着くようなことがあれば…… その時にどうするかはお前の判断に任せる。
  42. ここにいる兵士もまた、俺たちにとって 守るべき民の一人なんだ。彼らを頼む。
  43. ……もしも彼らを失えば、俺にはもう何も 残らない。死者への一念を除いては……。
  44. チッ……わかっている。
  45. そう硬い顔をするな。お前ならむしろ、 俺よりも上手くやってくれる気がするよ。
  46. 俺がここを離れたことは厳重に秘せ。 帝国に勘づかれれば厄介だからな……。