- フェルディアに戻る……?
折角ここまで来たのにか?
- フェルディアに戻る……?
折角ここまで来たのに?
- 戻ると言っても、少しの間……そうだな、
1節ほど、俺がここを空けるというだけだ。
- あなたが王都に戻らなきゃいけないなんて、
いったい何があったのかしら~?
- もしかしてフェルディアで、
何か大事件でも起こったんですか……?
- 王都には父さんたちもいますし、
滅多なことはないと思いますけど。
- きちんと説明してやれ、猪。あれの脅威は、
北方に暮らす連中にしかわからん。
- ……スレン族の一団がゴーティエ領を突破し
王都フェルディアに迫っているそうだ。
- 王都のイヴァン公が迎撃に出て、
捕縛されたという報告も入ったが……
- ゴーティエ辺境伯との定期連絡も途絶し、
報告の真偽を確かめることもままならない。
- だ、大丈夫なんですか、それ……!?
大事件じゃありませんか……!
- そりゃあもう大事件だぜ、アッシュ。
王都が略奪されたら戦争どころじゃない。
- まあ、あの父上がそう簡単にやられるなんて
にわかには信じられませんけど……
- 連絡が途絶えたのは事実だ。
何かが起きてるのは間違いないでしょうね。
- それは……由々しき事態だな。王領内には
教団の根拠地たるカムロスがある上……
- 王都フェルディアには、
教団の者も少なからず出入りしている。
- スレン族って、ファーガスの
北の半島に住んでいる人たちよね?
- うん……あたしたちが物心ついた頃には、
すっかり落ち着いてた気がするけど……。
- そんな殊勝な連中じゃない。今でも、隙を
見せれば食いついてくるような相手だぜ。
- ファーガスと境を接するスレンの北西部は、
一年を通して雪に覆われた土地だ。
- 彼らも生き延びるため、豊かな土地を
求めなければならないのだろう。
- その手段が問答無用の略奪でなければ、
交渉の余地もあろうものだがな。
- ……そういうわけで、俺は北に戻って
討伐軍の指揮を執らねばならない。
- 辺境伯もイヴァン公も安否不明となれば、
陛下が直接指揮を執るほかありませんしね。
- だったら、俺たちも一緒に行ったほうが
いいんじゃないか?
- だったら、私たちも一緒に行ったほうが
いいんじゃない?
- 危険な戦いに飛び込むなら、
腕の立つ護衛が必要だろ?
- 危険な戦いに飛び込むなら、
腕の立つ護衛が必要でしょ?
- そうですわよ、ディミトリさん。
- わたくしたちにとっても、
決して他人事ではないのですから。
- ありがたい、と言いたいところだが……
ここにも戦力を残しておく必要がある。
- [HERO_MF]、お前は今やこの軍の
要の一人だ。……アリアンロッドを頼む。
- 帝国軍に痛打を与えたとはいえ、いつ
反撃されるかもわかりませんからね……。
- ドゥドゥー、ロドリグ、供を頼む。
あとは数十騎ほどを連れていきたい。
- は、かしこまりました。
- 単に辺境伯の使者の到着が、何らかの事情で
遅れているだけ、という可能性もある。
- シルヴァン、お前は念のため
アリアンロッドに残って使者を待て。
- わかりました。
……陛下、どうかご無事で。
- それからフラルダリウス公。俺がここを
空けるとなれば、王国軍の指揮官はお前だ。
- フラルダリウス公。俺がここを
空けるとなれば、王国軍の指揮官はお前だ。
- 万一、使者が着くようなことがあれば……
その時にどうするかはお前の判断に任せる。
- ここにいる兵士もまた、俺たちにとって
守るべき民の一人なんだ。彼らを頼む。
- ……もしも彼らを失えば、俺にはもう何も
残らない。死者への一念を除いては……。
- チッ……わかっている。
- そう硬い顔をするな。お前ならむしろ、
俺よりも上手くやってくれる気がするよ。
- 俺がここを離れたことは厳重に秘せ。
帝国に勘づかれれば厄介だからな……。